興福寺・興福寺国宝特別公開2009 お堂でみる阿修羅
(10月17日〜11月23日)
美術史学会西支部大会として、興福寺国宝館館長金子啓明氏の阿修羅展についての講演の後、仮金堂に安置の阿修羅像ほかを鑑賞。群像を群像としてみることができることの幸せ。頭で西金堂の堂内空間を想像しながら見る。康慶作の四天王像もしっかり鑑賞。北円堂もあわせて鑑賞。弥勒仏像は以前に拝観した時からまた見え方が変わっていて、牛の歩みながら自分の成長を感じたりもする。運慶芸術の形成-展開のプロセスを明らかにする作業は、社会的コンセンサスを得られる大きな仕事になるか、自己満足するという小さな仕事になるかはともかく(論理的に実証できれば前者、感覚的に確信できれば後者)、常に意識して立ち向かっていきたいものである。
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【2009/11/25 06:29】
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大谷大学博物館・特別展 祈りと造形―韓国仏教美術の名品―
(10月13日〜11月28日)
連休中なのですごい人だろうと覚悟して京都入りするも、それほどでもなく車はスムーズに進む。大谷大学博物館が韓国・東國大学校博物館と交流協定を結んだことによる交流事業展。朝鮮半島の仏教美術を統一新羅以前、高麗、朝鮮の時代別に展観。東國大学校博物館のものばかりでなく、仏像・仏画は日本国内で所蔵されるものも出陳されている。知恩寺阿弥陀三尊像、禅林寺阿弥陀如来像など高麗仏画をじっくり。朝鮮仏画は展示替えでお目当てのもの見られず。朝鮮時代の仏像を数体確認できて有益。図録あり(88頁・1500円)。学食で昼食。安くて、彩りよく、おいしい。
廬山寺・良源1025年御遠忌記念 元三大師良源と廬山寺の世界展
(11月7日〜11月29日)
良源ゆかりの廬山寺で寺宝公開。鎌倉時代の良源坐像、慈恵大師遺告(国宝)、慈恵大師二十六ヶ条起請文(重文)のほか、平安仏画の普賢十羅刹女像(重文)などごく間近でじっくり鑑賞できる贅沢。本尊阿弥陀三尊像は、両脇寺がひざまづく来迎形式の平安時代後期の堅実な作例(府指定)。図録なし。
京都国立博物館「立正安国論」奏進750年記念 日蓮と法華の名宝―華ひらく京都町衆文化―
(10月10日〜11月23日)
日蓮宗(法華宗)の美術を、法華経信仰・祖師信仰と、中世後期〜近世京都町衆文化形成の基層という観点から集め展観。延文3年(1358)康俊作の妙圀寺釈迦如来坐像(重文)、貞治5年(1366)定慶作の本圀寺釈迦・多宝如来坐像と、日蓮像のいくつかと、立正安国論(国宝)を見て、あとはざっと。図録あり(334頁・2500円)。
京都府立山城郷土資料館 常設展で展示中の、近年像内から文暦2年(1235)泉州別当定慶作の銘文が確認された、八幡市・宝寿院阿弥陀如来立像をチェック。鎌倉時代前期の慶派らしい堅実な作風の像。修理後のようだが表面の状態があまりよくなく、見栄えに影響しているのがもったいない。
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【2009/11/24 09:04】
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とくに近年、学際的分野からの遍路研究がめざましい発展と充実を遂げ、西国観音巡礼や熊野信仰などの他の仏教文化を統合して考察しなければ、四国遍路の立体的研究や解釈は不可能となっている。(頼富2009、282頁)
頼富本宏『四国遍路とはなにか』(角川学芸出版、2009年11月)
ありがとうございました。
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【2009/11/19 09:09】
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九州国立博物館九州国立博物館開館4周年記念特別展 古代九州の国宝
(10月20日〜11月29日)
古代九州を考古学的成果から考える資料構成。経塚出土資料と石人・石馬をしっかりみておく。子ども向けの「考古学」を楽しむための補助パネルがたくさん設けられ、親切。興業上の理由でタイトルが「国宝」に変わったようだが、当初提示してあった仮題「九州王国の伝説―古代九州の力―」の方が展示内容と一致していてよかったのではないか。真面目な展示作りをしているのに、展示の実態とはやや違和感のある「国宝」を前面に出してしまっては、展覧会を開催する本来の意図をぼかしかねない。図録あり(1000円)。
トピック展示 新収品’05 -’08 交流する文化のかたち
(9月30日〜11月8日)
九博の新収蔵資料のお披露目。今年新たに重文指定された菊蒔絵手箱(南北朝〜室町時代)は、形状、技法、素材など、熊野速玉大社の国宝・古神宝中の手箱とそっくり。ただし寸法は若干小さく、蒔絵の文様がややおおらかで、環座の金具も同様なので、制作時期は少し古いかも。同じ工房の作ともいえるかもしれない。漆工史上に貴重な新資料といえる。その他一遍上人像(南北朝時代)や仮面などもあり。仮面の名称付けに少し違和感あるが、旧所蔵者のものをひきついだのかも。リーフレットあり(18頁・無料)。
八代市立博物館未来の森ミュージアム特別展覧会 みほとけの貌―熊本県南部の仏像―
(10月16日〜11月23日)
熊本県南部(八代市・人吉市・宇城市・宇土市・天草市・球磨郡・下益城郡・葦北郡)に伝えられた平安〜室町時代の仏像を集成。願成寺阿弥陀如来坐像(重文)は定朝様をベースに、意志的な表情と細かく乱れる衣紋を配した新時代の表現様式を含む堅実な作例。奈良仏師か。中山観音堂の聖観音菩薩像は等身大の平安時代前期彫刻。背をそらした姿勢、裾をたくし上げた軽快な正面観など古様を見せ、制作は9世紀にさかのぼる。北部九州に類例のある作例を考える上での新資料。寿勝寺薬師如来坐像は室町期の修理部分もあり、また破損もあるが、猫背になる側面観、内衣をのぞかせる着衣形式など、13世紀半ばごろの慶派による如来坐像の新出作例。ほか、像高237.2センチの勝福寺毘沙門堂・毘沙門天立像(久寿3年<1156>や釈迦院山王神坐像(仁治3年<1242>、長実作)などなど、在銘彫刻も多数。熊本県(南部)の仏像を一望できる千載一遇の機会で、必見。図録あり(1700円、144頁)。
鑑賞後、展示ご担当者とともに九州と関西の研究者の面々と痛飲。馬刺し・辛子れんこん・一文字ぐるぐるに天草のお魚と焼酎。二件目でふぐ汁。全員二日酔いで撃沈も当方のみ回復早し。黒丸(二日酔いの薬)はよく効く。熊本は美味しい。

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【2009/11/10 07:15】
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正木美術館秋季展 朱と墨―根来が繋いでくれた縁―
(10月4日〜12月1日)
正木美術館と常盤山文庫所蔵の根来塗・墨蹟・水墨画のコラボレーション。他館より借用することが初とのことで警備体制がものものしい。墨蹟では清拙正澄墨蹟遺偈(毘嵐巻・常盤山文庫・国宝)、宗峰妙超墨蹟渓林偈・南嶽偈(正木美術館・国宝)の3幅が並ぶ。根来塗では、根来輪花天目盆(常盤山文庫・重文)、根来手力盆(正木美術館、文永3年(1266)銘)など。常盤山文庫の北野天神縁起絵巻は上中下巻全て展示。図録あるが、出陳の全資料は掲載されない。
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【2009/11/03 17:42】
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院尊の光背仏師補任とそれに続く中門以後の慶派仏師補任には重源を超えた背景があると想像されるのである。(赤川2009、55頁)
赤川一博「東大寺復興造営における大仏光背と中門二天像―東大寺巨大木彫群造像の背景―」(『佛教藝術』306、2009年9月)
笠置寺虚空蔵石磨崖仏は、石山寺観音と同様に、良弁によって、護国経典である『金光明最勝王経』如意宝珠品に基づき、如意宝珠の力をもった観音像として、木津川水運の整備・管理を宗教的な立場から推進するために造顕されたものであると考えられる。(八田2009、316頁)
八田達男「笠置寺の創建と弥勒磨崖仏」(松倉文比古編『日本古代の宗教と伝承』(勉誠出版、2009年3月)
ありがとうございました。
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【2009/11/03 07:43】
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青洲の里企画展 華岡清州時代の手術器具と現在の手術器具
(10月12日〜11月3日)
紀の川市西野山、華岡清州ゆかりの春林軒の地にもうけられた施設。医聖華岡清州顕彰会の主催事業で、同会所有の青洲ゆかりの手術道具を展示。図録あり(18頁・100円)。
高野山霊宝館企画展 山岳信仰と高野山
(10月3日〜12月13日)
高野山と山岳信仰・修験との密接な関わりを諸資料から提示する。日本山岳修験学会との共催。金剛峯寺の丹生明神・狩場明神像(鎌倉時代、重文)、弘法大師丹生高野両明神蔵(問答講本尊、鎌倉時代、重文)などのほか、遍照光院の一心十界図(室町時代)、西南院の熊野曼荼羅(室町時代)、親王院の天河曼荼羅(室町時代)といった特殊な尊像も縦覧できる。正智院の影向明神像(鎌倉時代)、道範像(鎌倉時代)は、未指定なのが不思議。図録(46頁・1000円)は日本山岳修験学会第30回記念高野山学術大会実行委員会の発行で、会期中のみの販売とのこと。
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【2009/11/02 07:17】
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熊野古道なかへち美術館野長瀬晩花展−晩花の花―
(10月10日〜11月23日)
熊野一周資料返却の旅を終え、帰路、トラックに待ってもらって立ち寄る。熊野古道の途中、近露出身の日本画家野長瀬晩花のコレクションからセレクト。<新芽ふく頃>など、晩花の洋画風日本画の独特のタッチと、デザイン的な構成の作品に惹かれる。図録なし。
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【2009/11/01 07:57】
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備忘のための読書記録、2009年10月分。学術論文は除く。発行年月日は初版のもの。
内田樹『死と身体―コミュニケーションの磁場―』(医学書院、2004年10月)
植島啓司・九鬼家隆・田中利典『熊野 神と仏』(原書房、2009年9月)
中野榮治『葛城の峰と修験の道』(ナカニシヤ出版、2002年10月)
木下史青『博物館へ行こう』(岩波ジュニア新書、2007年7月)
山本博文『日本史の一級史料』(光文社新書253、2006年5月)
仲正昌樹『〈宗教化〉する現代思想』(光文社新書356、2008年6月)
柏原祐泉『仏教と部落差別―その歴史と今日―』(部落解放研究所、1988年2月)
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【2009/10/31 23:16】
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奈良国立博物館御即位二十年記念 第61回 正倉院展
(10月24日〜11月12日)
仕事で来館し、終了後正倉院展鑑賞。即位20年記念ということで、楽毅論、紫檀木画槽琵琶、平螺鈿背円鏡、金銀花盤、沈香木画箱、子日目利箒などなど豪華ラインナップ。今年は特に見逃せません。伎楽面の呉女3面(うち1面は乾漆造)や力士、崑崙のほか、金薄絵馬頭を見られたのが個人的に有益。平日昼前で、もう人・人・人。これも正倉院展らしさとあきらめるほかない。図録あり(1200円)。鑑賞後、興福寺仮金堂に安置された阿修羅像を見てみようかと行ってみると、100分待ちの大行列。じゃあせめて北円堂と思うと、こちらは40分待ち。あきらめる。
奈良県立美術館特別展 遷都1300年プレ展示 神話〜日本美術の想像力〜
(10月24日〜12月24日)
奈良博・興福寺の喧噪を離れて、静かな奈良県美へ(^^;)。明治・大正期の神話・歴史画を集める。河鍋暁斎〈天岩戸〉、鈴木松年〈日本武尊・素戔嗚尊〉、高橋由一〈日本武尊〉(東京藝術大学美術館)、本田錦太郎〈羽衣天女〉(兵庫県立美術館)、青木繁〈大和武尊〉(東京国立博物館)、中沢弘光〈おもいで〉(東京国立近代美術館)、安田靫彦〈遣唐使〉、前田青邨〈小碓尊〉(岐阜県美術館)、小林古径〈大毘古命図〉、松岡映丘〈佐保姫〉、寺崎広業〈大仏開眼〉(東大寺)などなど、見所多し。近代絵画の中でも、一番おもしろい部分と個人的に思う。正倉院展で奈良におこしの皆様、こちらもお見逃しのありませんように。図録あり(120頁・1200円)。
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【2009/10/28 23:32】
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