Latest Entries

大津市歴史博物館「大津の都と白鳳寺院」鑑賞記

11月15日
大津市歴史博物館
 遷都1350年記念企画展 大津の都と白鳳寺院
(10月7日~11月19日)

 天智天皇6年(667)に建都された大津京の姿と仏教との深い関わりを、主に出土した瓦と塑像断片から紹介するとともに、当該時期とその前後に渡る日本・中国・朝鮮半島の塼仏・金銅仏の優品を集約して、白鳳期仏教美術の特徴を浮かび上がらせる。崇福寺・南滋賀町廃寺・穴太廃寺等の出土資料とともに、塑像・塼仏の比較のため川原寺・山田寺・橘寺・二光寺廃寺・夏見廃寺出土資料等もずらり紹介。金銅仏では、注目の妙傳寺如意輪観音半跏像、東博小倉コレクションの菩薩半跏像、四天王寺の誕生釈迦仏など朝鮮半島の作例、東京芸大菩薩立像、焼損痕のある四天王寺菩薩半跏像、岡寺菩薩半跏像、那智経塚出土の金銅仏群などの白鳳時代の作例がずらり。感嘆。図録あり(160ページ、1800円)。

奈良国立博物館「正倉院展」、天理大学附属天理参考館「天理図書館 古典の至宝」鑑賞記

11月13日
奈良国立博物館
 第69回 正倉院展
(10月28日~11月13日)

 最終日に滑り込み。お昼に重なったからか、並ばず入館できる。今年は緑瑠璃十二曲長坏がメイン。羊木﨟纈屏風と﨟蜜、﨟蜜袋を並べ、楽器では尺八2管と箜篌の残欠と復元品。会場には尺八の音が響く。伎楽面と錫杖をじっくりと鑑賞しておく。図録あり(152ページ、1200円)。なら仏像館では室生寺の弥勒菩薩立像、釈迦如来坐像がさらりと並んで豪華。

天理大学附属天理参考館
 特別展 天理図書館 古典の至宝-新善本叢書刊行記念-
(9月16日~11月27日)

 天理図書館に収蔵される古典籍の善本叢書刊行を記念して、対象資料を3期に分けて展示。日本書紀神代巻(国宝)、古語拾遺の暦仁元年(1238)本(重文)、石清水八幡宮権別当田中宗清願文案(重文)、源氏物語池田本、奈良絵本「鼠の草子絵巻」「熊野の本地」(伝十市遠忠筆)、ほか井原西鶴や松尾芭蕉関連資料など。奈良絵本「ひだか川」は第2期(~11/6)の展示だった。しまった。図録あり(64ページ、1000円)。

国立能楽堂「黒川能「鐘巻」」「野崎家能楽コレクション」、東博「運慶」「室町時代のやまと絵」鑑賞記

11月11日、黒川能鑑賞のため日帰りで東京へ。
東京国立博物館
 特別展 運慶
(9月26日~11月26日)

 2回目。長岳寺阿弥陀三尊像のうち中尊と観音像が退き、勢至菩薩像が居残り。代わって瑞林寺地蔵菩薩坐像がお出まし。正面は十重二十重の人垣であるので、横に回って長岳寺像と瑞林寺像の側面観を比較。中金堂四天王像(元南円堂安置)も見納め。これとの比較で検証した東大寺持国天像についての拙稿はすっかり埋没。書いた本人が15年放置すればそりゃそうなる。そろそろ再始動。

特集 室町時代のやまと絵-絵師と作品-
(10月24日~12月3日)

 室町時代における絵画のジャンルとしての「やまと絵」に注目して、東博収蔵の優品を並べる。伝土佐光重筆浜松図屏風、清凉寺融通念仏縁起絵巻、伝土佐光信筆桃井直詮など。図録あり(72ページ、1000円)。所収の土屋貴裕「室町時代のやまと絵をめぐる問題」における「やまと絵とは何か」という問いと答えの思考の往還が興味深い。言葉にした途端につるりと逃げ出す感覚。

国立能楽堂資料展示室
 特別展 備前池田家伝来 野﨑家能楽コレクション
(10月4日~12月15日)

 岡山県・野﨑家塩業歴史館に収蔵される、備前池田家伝来能資料を公開。大正期の売り立て資料を、池田家との深い関わりのなかで野﨑家が入手、秘蔵してきたもの。近世の大名面の優品を壁一面にずらりと並べて圧巻。小獅子(悪鬼)の作者「越前国/川瀬勝三郎/光廣(花押)」銘は、越前出目家初代の可能性もあるが不明。ほか天下一友閑の作面も多数。能装束では、ちょうど上演される「鐘巻」に合わせて(多分)白地鱗文様摺箔を出陳。図録あり(120ページ、2500円)。

国立能楽堂
 特別企画公演 黒川能
(11月10日~11月11日)

 三部立てのうち、第二部の能「木曾願書」、狂言「こんかい」、能「鐘巻」を鑑賞。鐘巻はシテの上野由部太夫の気合い充実の名演に感動。「鐘巻」をもとに改作された「道成寺」ではよく分からなかった所作の一つ一つにきちんと意味があることを実感。その詞書における日高平野を押さえた湯川氏の館があった小松原の強調、道成寺鎮守〈明神〉の組み込み(住吉明神)、完成した道成寺創建縁起、そして改変し完成した道成寺説話、「造立さって七百歳」の基準点は明示されないが15世紀成立を暗示することなど、地域史研究の立場から興味深いことばかりであるが、それらの膨大な情報が、きちんと一つの舞のストーリーとして成立していて破綻がない。次は黒川の現地で見たい!

有田市郷土資料館「念仏行者徳本」、龍谷ミュージアム「地獄絵ワンダーランド」ほか

11月9日、午前中に代休取って有田市へ。
有田市郷土資料館
 特別展 念仏行者徳本-200回忌記念-
(10月14日~12月10日)

 江戸時代後期に全国で熱狂的に信仰された紀伊国出身の浄土宗僧徳本について、和歌山県内の博物館で初めて開催された本格的な徳本展。西法寺徳本上人坐像、誕生院徳本上人絵伝、往生寺徳本上人縁起絵巻のほか、さまざまな種類の六字名号も集める。地域に残る資料によって徳本を丁寧に浮かび上がらせる好展示で、近世仏教史の観点からも重要な作業。さらに新資料が見いだされそう。図録あり(56ページ、500円)。

11月10日、仕事を16時で切り上げて京都へ走る。
龍谷ミュージアム
 特別展 地獄絵ワンダーランド
(9月23日~11月12日)

 中世~現代の地獄表現の諸相を一望する。近世において受容されたゆるくかわいく魅力的な地獄絵をクローズアップするとともに、そうした「ゆるい」地獄絵の成立過程を、中世以来の地獄表現の展開の中に系統づける。壬生寺十王図や當麻寺中之坊十王図から、宋・元の十王図の日本での写しのあり方を確認。當麻寺の宿院仏師作の十王像(うち3軀)や東光寺の木喰明満作の十王像も興味深く鑑賞。図録あり(226ページ、2000円)。

京都国立博物館
 開館120周年記念特別展覧会 国宝
(10月3日~11月26日)

 2回目。夜間開館。仁和寺北院旧安置の檀像薬師如来坐像をじっくりと鑑賞。この極小の像と向かい合う、間もなく帰る巨大な金剛寺大日如来坐像も、改めて新鮮な目で鑑賞。曼殊院の不動明王像(黄不動)も間近でありがたく拝見。夜も人多い。

高野山霊宝館「大宝蔵展 高野山の名宝-平家物語の時代と高野山-」鑑賞記

11月6日、正倉院展にいかなきゃと車を途中まで走らせたものの、疲れているのか、到着してからの行列と人の波を想像して気力減退。急遽行き先変更して高野山に登ることにする。南海高野線が現在不通であるので、山上までの道はバス・車で渋滞発生中。

高野山霊宝館
 第38回高野山大宝蔵展 高野山の名宝-平家物語の時代と高野山-
(10月14日~12月3日)

 平家物語巻一〇「高野巻」にちなんだ関連資料を選んで展示。平清盛発願とされる縦横4mの巨大な両界曼荼羅(血曼荼羅・重文)の原本公開。唐時代の胎蔵界板彫曼荼羅2面(重文)のうち把手を削り取った方の裏面にも清盛や平家一門の名が記される。丹生高野四社明神関連では、問答講本尊の弘法大師・丹生・高野明神像(重文)、天野院主行勝所持と伝わる五鈷杵・三鈷杵(蓮華定院蔵)、行勝弟子貞暁が伽藍御社に奉納した梵字懸仏、そして壇上伽藍不動堂の本尊不動明王坐像(重文)が、運慶作八大童子像の出張中に本館で公開。これも行勝関連資料。ほか後白河法皇御手印起請文(宝簡集巻三三、国宝)、俊乗房重源施置文写(続宝簡集巻八、国宝)など。修理完成した五坊寂静院の不動三童子像(重文)も公開。図録なし。
 阿弥陀聖衆来迎図の大正期模写本と血曼荼羅で構築した立体空間を独り占めして、ヒーリング。胡麻豆腐も買う。

黎明館「かごしまの仏たち」、九博「六郷満山展」「新・桃山展」鑑賞記

11月1日、代休とって、鹿児島・福岡弾丸ツアー。

鹿児島県歴史史料センター黎明館
 企画特別展 かごしまの仏たち―守り伝える祈りの造形―
(9月28日~11月5日)

 廃仏毀釈により大きなダメージを受けながらも、地域の中で守り継がれてきた鹿児島県内の仏像を一所に集めて紹介する。湧水町二渡自治会菩薩半跏像(県指定)は平安時代後期の片足を垂らした菩薩像として貴重な事例。薩摩川内市教育委員会保管の阿弥陀三尊像は鎌倉時代前期ごろの新資料。仏師快成工房作との評価。弘治3年(1557)に深賢快重作の姶良市蔵の釈迦如来坐像や、永正3年(1506)快扶作の地蔵菩薩立像・毘沙門天立像・多聞天立像は、室町時代の在銘の大作。快扶の作例は正面観ではまとまりよいが、側面では立体のつながりに破綻が生じていて、伝統的な仏師集団とは一線を画して村落の需要に応じた造仏僧か。興味深い事例。霧島市松下美術館の漆箔仕上げの男神像や和式の鎧を纏った男神像は、伝来不詳ながら神像研究上注目すべき作例。同館には去年個人的に調査でうかがったが、コレクションにはまだまだ興味深い作例あり。一部でも紹介されてうれしい。展示の最後は新納忠之介関連資料で、鹿児島市立美術館の金剛峯寺八大童子像頭部石膏型などのコレクションを展示。写真パネルも多数用意し、飛鳥時代から近代までの鹿児島県宗教彫刻史を一望する極めて貴重な機会。図録あり(150ページ、1700円)。


九州国立博物館
 大分県国東宇佐 六郷満山展-神と仏と鬼の郷-
(9月13日~11月5日)

 六郷満山開山1300年記念として、大分県六郷満山周辺寺社に伝わる仏像・神像を中心とした文化財を集め、その特徴的な信仰の様相を紹介する。天福寺奥院の多数の仏像群の中から奈良時代造像の可能性のある如来立像と菩薩立像、富貴寺の阿弥陀三尊像、真木大堂不動三尊のうち両脇侍立像、瑠璃光寺阿弥陀如来立像、もと小両子岩屋安置の阿弥陀如来立像、無動寺薬師如来坐像と大きな仏像が文化交流展の展示室のそこかしこに林立。八幡奈多宮の神像群や応保2年(1162)陣道面、富貴寺の久安3年(1147)銘追儺面や菩薩面も仮面研究上、重要な資料。図録あり(112ページ、1500円)。


 特別展 新・桃山展-大航海時代の日本美術-
(10月14日~11月26日)

 桃山時代美術史を、信長・秀吉・家康の治世における諸外国との政治・文化・経済の交流史という観点から構成して作品を集める。東大史料編纂所倭寇図巻、神戸市博聖フランシスコ・ザビエル像、栖雲寺十字架奉持マニ像、三井記念美術館聚楽第図屏風、宮内庁三の丸尚蔵館唐獅子図屏風(狩野永徳)、南蛮人渡来図屏風、高台寺聖母マリア像刺繍壁掛、京都大学総合博物館マリア十五玄義図、メキシコ・ソウマヤ美術館大洪水図屏風、等々、重要作例がてんこ盛り。日本の屏風が直接影響を与えて東南アジアや南アメリカで作られたBIONBOの日本国内での公開が目玉。図録あり(216ページ、2200円)。

和歌山県立紀伊風土記の丘「道が織りなす旅と文化」鑑賞記

10月31日、半日休みとって鑑賞。

和歌山県立紀伊風土記の丘
  特別展 道が織りなす旅と文化
(9月30日~11月26日)

 世界遺産紀伊山地の霊場と参詣道の資産追加登録を記念して、旅する宗教者を通じて流入し、また伝播した紀伊国の信仰文化の諸相を、民俗学的観点から提示する。熊野信仰の全国への伝播としては、高知県物部村のいざなぎ流の御幣や仮面、愛知県大入花祭の資料や曽川花祭の仮面などを集める。西国巡礼では、三十三度行者の御背板(笈に西国三十三所の本尊像や仏具を入れて祭壇として使用するもの)を集めるほか、粉河寺や道成寺の中世~近世の巡礼札が初公開。江戸時代に作られた迦楼羅尊王のミイラや、稲亭物怪録(広島県立歴史民俗資料館)、化物尽絵巻・百鬼夜行絵巻など妖怪ものもあり。図録あり(124ページ・1500円)。

東京国立博物館「運慶」、東京芸大美術館「素心伝心」、栃木県立博物館「中世宇都宮氏」鑑賞記

東京藝術大学大学美術館
 シルクロード特別企画展 素心伝心-クローン文化財 失われた刻の再生-
(9月23日~10月26日)

 最新技術と手業を組み合わせた芸大製文化財レプリカである「クローン文化財」の展示。法隆寺金堂釈迦三尊像の復元は、三次元計測したデータ(ただし背面側は未計測)をもとに3Dプリンターで出力した原型から蝋型を作成し鋳造する。敦煌莫高窟第57窟やキジル石窟航海者窟の再現や、バーミヤン東大仏仏ガン天上壁画の再現など、精度の高い複製が文化財の維持や継承に活用できる場面は多くあり、まさに制作者養成を行う芸大らしいプロジェクト。特許取得技術との由。和歌山で高校生大学生と文化財レプリカ作りを行っている立場からは、精度の高さを追求していく当然の方向性とともに、手軽に身近に活用できる低コストのレプリカ作成方法の模索も推し進めて欲しい。会場内の香りや音の演出や、釈迦三尊両脇に垂らしたスクリーンに投影する光背銘を使ったインスタレーションなどは、レプリカを活用した新たな空間芸術の試みということのよう。図録あり(144ページ、1500円)

東京国立博物館
 特別展 運慶
(9月26日~11月26日)

 興福寺中金堂再建記念として運慶の仏像を集約するとともに、父康慶及び子息・周辺仏師の仏像を一所で展観する意欲的な展示。十重二十重の大観衆。長岳寺阿弥陀三尊像(中尊の光背は未出陳)が数十年ぶりに寺外で公開されている間(~10/29)に駆け込んで無事鑑賞。運慶芸術の数々を間近で堪能するとともに、円成寺大日如来坐像の中の康慶、中金堂四天王立像(元南円堂所在)の中の運慶、金剛峯寺八大童子像の清新さと解放感、東大寺重源坐像の中の古典などなど、かたちの中に残された痕跡にほの見える歴史情報に思いを致す。展覧会開催に合わせて行われたCT撮影の成果も紹介され、運慶研究の進展に寄与。六波羅蜜寺地蔵菩薩坐像の像内に詰め込まれた大量の納入品は、いつの日か解体修理の時が来たとき、康慶・運慶の歴史的位相をよりはっきりと定める画期的な情報を提供するものであろう。鑑賞しながら、運慶研究の盛り上がりに乗じて私も論文書かねばっ!と胸にぽっと火を灯してもらう。図録あり(322ページ、3000円)。再訪を期す。

栃木県立博物館
 特別企画展 中世宇都宮氏-頼朝・尊氏・秀吉を支えた名族-
(9月16日~10月29日)

 宇都宮市に建つ県立博物館の開館35周年記念として、宇都宮を本拠とした武士団宇都宮氏の中世史を、多様な資料で叙述する。中世文書を丁寧に多数集めて展示の骨子を形成するとともに、その歴史叙述の上で知恩院法然上人絵伝(国宝)、光明寺當麻曼荼羅縁起(国宝)、清浄光寺一遍聖絵(国宝)、専修寺善信聖人親鸞伝絵(重文)など絵画の優品を全国より集め、また肖像画研究の上で今後重要視されることが確実である新発見の足利尊氏像(個人像)が提示されるなど、絵画資料が充実。建長5年(1253)の岩谷寺薬師如来立像、建長4年の蔵福寺阿弥陀三尊像、弘長元年(1261)の西明寺千手観音菩薩立像、木幡神社の馬頭観音坐像など、栃木を代表する鎌倉時代彫像を間近に鑑賞。京都府大念寺の阿弥陀如来立像と納入品を鑑賞できたのもありがたい。図録あり(240ページ・2000円)。

出光美術館「祈りのかたち」鑑賞記

9月2日
出光美術館
 祈りのかたち-仏教美術入門-
(7月25日~9月3日)

 終了間際に滑り込み。館蔵の仏教美術の優品をガンダーラ仏・北魏仏から近世の禅画まで、どっとお蔵出し。修理された永久寺伝来の真言八祖行状図(保延2年〈1136〉)をじっくり鑑賞。鎌倉時代の持国天・増長天立像も永久寺伝来。高野山鎮守天野社のある上天野地区の念仏講旧蔵の六道・十王図と久しぶりに対面。ほか、平安末~鎌倉初期とされる不動明王二童子図の大幅は根来寺旧蔵とのこと。知りませんでした。図録あり(146ページ、2100円)。別刷りの真言八祖行状図図版(大きく明るい)がおまけについてきて有益。
 その後銀座まで歩いて観世能楽堂で能「道成寺」鑑賞(松の会主催)。面は近江女と般若(多分)。

奈良教育大学教育資料館「海を渡った文化」、東大寺ミュージアム「東大寺大仏縁起絵巻特別公開」、奈良博「源信」鑑賞記

8月22日、仕事の山に目をつぶり、午後から代休取って職場離脱。この日までの展示、この日からの展示を巡る。

奈良教育大学教育資料館
 展示企画 海を渡った文化-中国から日本へ-
(8月18日~8月22日)

同大学大学院「地域と伝統文化」教育プログラムの「伝統文化発信法Ⅱ」講義の成果展。東吉野村龍泉寺阿弥陀如来坐像は針葉樹の一材から頭体及び脚部、両椀部を含んで一材より彫出する像高50.5㎝の像で10世紀と評価。同寺には平安時代前期の如来坐像(県指定)あり。ほか、唐時代の銅製鍍金の金剛力士立像(個人蔵)、東大寺執金剛神縁起絵巻(同大図書館蔵)など。最新の機器を活用した研究成果として、芳山二尊石仏南面像の3Dスキャン画像と唐招提寺伝薬師如来立像の対比や、郡山城石垣より出土した両面石仏(片面は地蔵十王像、もう片面は冥王像)の3Dプリンターによる石膏製出力作品も展示。図録あり(43ページ)。

東大寺ミュージアム
 東大寺大仏縁起絵巻(重文)特別公開
(上巻8月1日~8月20日 中巻8月22日~9月10日 下巻9月11日~9月30日)

 天文5年(1536)、東大寺僧祐全の勧進、後奈良天皇(上巻)・青蓮院宮尊鎮法親王(中巻)・西室公順(下巻)の詞書、絵は南都絵所のうち芝座の琳賢(及び芝助座藤勝)の手になる東大寺大仏縁起の、修理完成後初披露。うっかり上巻を見逃し残念(そばまで行ってたのに…)。中巻は巻頭から巻末まで全巻公開。明快で凜々しい顔貌表現や、彩色を主体とした仏菩薩の手慣れた描写など、室町時代南都絵所絵師の特徴を確認。図録なし。絵巻を載せた絵ハガキ配布。

奈良国立博物館
特別展 源信 地獄・極楽への道
(7月15日~9月3日)

 3度目。展示替えされた作品を鑑賞。西新館第2室、縦長の部屋の一番奥、西面(!)するケースに、有志八幡講阿弥陀聖衆来迎図(国宝)を配置。象徴的な空間に象徴的な作品が嵌まって、展示の完成。振り返れば極楽浄土(當麻曼荼羅)。鑑賞ならぬ観想の場が構築され、極楽往生間違いなし。図録あり(328ページ、2300円)。

Appendix

プロフィール

大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

月別アーカイブ

ブログ内検索