11月22日、和歌山県文化財研究会の文化財巡りのバスツアーに講師として随行。
まず仁和寺へ。法話を聞いて、重文の茶室を拝観して、国宝金堂の説明。続いて霊宝館秋季名宝展(10月1日~11月24日)を鑑賞し、阿弥陀如来両脇侍像(国宝)をじっくり解説。仁和4年(888)、仁和寺落慶供養時の本尊であり、平安時代前期彫刻の中に見える和様の先駆けを読み取る。
続いて広隆寺。11月22日は年に一度、秘仏2躯が開帳される日。広隆寺開創の歴史と弥勒菩薩像との関係を事前にご紹介して、霊宝殿へ。かつての金堂本尊であった薬師如来立像は、像高97.6㎝、髻を結い、冠を付け、蓋襠衣をまとう姿で、通常の薬師如来とは全く異なる菩薩形と天部形の混ざった不思議な姿。神仏習合の作例として、天部が条帛をまとう菩薩の服装をとっているところが、キーポイント。上宮王院の本尊聖徳太子立像は、等身大の大きさで、天皇即位の際に御袍と同じ衣裳が下賜され、身にまとう特殊な裸形の霊像。元永3年(1120)、仏師頼範の作。生身の太子に、すぐそばでまみえることができ、感慨無量。
最後に龍谷ミュージアムへ。仏教の思想と文化Ⅱ(11月9日~2月2日)開催中。レクチャールームで石川副館長の解説を聞いてから、展示鑑賞。実物資料で、アジアと日本の仏教の展開を提示することは、やはりすごい作業。資料探しが大変だろうと思う。真如堂の本尊を細部まで写した阿弥陀如来像(龍大所蔵・鎌倉時代)が、新資料として提示。霊像の写しという行為は、本当に興味深い。ほか、二尊院の阿弥陀三尊来迎図の瑞雲表現をチェック。特集展示「中村元博士生誕100年記念事業 写真展 ブッダのことば」、特集展示「越中・勝興寺の名宝」(~12月23日)も鑑賞。なんとかどたばたとお役目を果たす。つかれた…。
スポンサーサイト
- http://kanbutuzanmai.blog66.fc2.com/tb.php/638-fea4b95b
トラックバック
今年は泰山で終わりと油断していたら、笠田荘があるとは…
日程検討中ですが、年に何回紀州に行かされるのやら…
あまり魅力的な展示をしないでください(笑)
それはともかく、広隆寺草創期の本尊は如何にお考えですか?
薬師像の造立時期や道昌との関係は如何にお考えですか?
私は一介の中学教員で、研究者ではありません。
見通しをご教示くださればありがたく存じますが、
こんな場所ではお答えにくかったら無視してください。
博物館でお声にお目にかかれるのが楽しみです。