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龍谷ミュージアム「因幡堂 平等寺」、京都国立博物館「国宝一遍聖絵と時宗の名宝」鑑賞記

5月17日、美術史学会へ参加するべく京都行き。会場(京都工芸繊維大)入りの前に、絶対見逃せない2つの展覧会をダッシュで鑑賞。

龍谷ミュージアム
 企画展 因幡堂 平等寺-京に飛んできたお薬師さん-
(4月20日~6月9日)

 因幡堂平等寺の伝来資料と関連資料を集約して展観。東京国立博物館所蔵の因幡堂縁起(重文)のほか、因幡堂縁起の諸本を徹底集約。本尊薬師如来立像(重文)は因幡堂縁起に長保5年(1003)に因幡国から橘行平邸に飛来したと語られる「飛んできたお薬師さん」。造像時期を検討する上でも縁起の「飛来」時期は示唆的。やはり因幡国から飛来と伝承される延算寺薬師如来立像(重文)も関連資料として出陳。ほか平等寺伝来の中近世仏像が多数公開され、中でも元和7年(1621)康正作の弘法大師坐像はその最晩年の作で、近世仏像研究の上で重要な発見。平等寺近隣西念寺の阿弥陀如来坐像は、湛慶あるいはそのごく周辺の有力仏師の手になる洗練された鎌倉時代の作例で、ありがたい出陳。仏教文化をテーマとする博物館として、京都の寺院の文化財を新規調査を踏まえて水準高く紹介するこうした活動は重要で、大学ミュージアムの地域貢献のありうべきかたちをも体現している。図録あり(104ページ、1800円)。

京都国立博物館
 特別展 時宗二祖上人七百年御遠忌記念 国宝 一遍聖絵と時宗の名宝
(4月13日~6月9日)

 真教上人700年遠忌の西国での先行展示。時宗本山清浄光寺と、七条道場金光寺を引き継ぐ長楽寺の資料群を中心に時宗(時衆)の歴史を紹介し、真光寺・清浄光寺・金蓮寺ほかの遊行上人縁起絵の諸本を集約して二祖他阿真教を顕彰する。目玉の一遍聖絵(国宝)12巻の全巻公開にあたっては、その美術史的鑑賞の便に留まらず、各巻模本も活用しつつ多数の場面を展開して一遍と時衆の(縁起的)歴史の紹介にも目配りする。また長楽寺・蓮台寺・常称寺の真教像、長楽寺・西郷寺・迎称寺の一鎮像をはじめ、鎌倉~南北朝期の遊行上人像を集める貴重な機会。各地の時宗道場伝来の仏像仏画も取り上げ、阿弥陀寺・聞名寺の行快作例ほか鎌倉時代彫像や、金蓮寺阿弥陀如来像(南宋)や阿弥陀浄土変相図(南宋~元)の宋元仏画など、時宗の幅に留まらないラインナップ。図録あり(282ページ、2500円)。
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コメント

[C289]

企画展「因幡堂 平等寺-京に飛んできたお薬師さん-」行きたいと思ってたので参考になります。
  • 2019-05-19 17:27
  • 仏像好きかも
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。

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