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玉稿拝受(『祇園祭の中世-室町・戦国期を中心に-』)

「まず、室町期の祇園会、とりわけ山鉾巡行の特徴をあらためて述べるとすれば、それは、なにより「見る」「見られる」ことがとくに意識された祭礼であったといえるだろう。そのことを示す史料上のことばが「見物」、あるいは「御見物」にほかならないが、その見物の主体が、室町殿(室町幕府の頭首、将軍家の家父長)や内裏(禁裏・天皇)・仙洞(治天・上皇)といった室町期の公武政権の中核をなす人びとであったという点は特徴的...

玉稿拝受(「湯立神楽の意味と機能-遠山霜月祭の考察-」)

「火を介して水をたぎらすとい湯立は、人間の自然への過剰な働きかけであり、世界に亀裂を入れることで、人間と自然のはざまに生じる動態的な現象に注目することに他ならない。延々と続く湯立によって、湯の動き、湯の気配、そして湯の音や匂いに多様な意味を読み取り、真夜中になって禁忌に取り囲まれた面の神霊を多数に連続して登場させることで、独自の世界を幻視するのが遠山霜月祭であった。最後には神霊や仏菩薩、動物植物を...

玉稿拝受(「江戸時代の紀州における本草学者のウミガメ調査と漁民の民俗知識」)

「漁民たちは、自然のなかで生物と対峙しながら、捕獲しようと思う生物に対する豊かな民俗知識を形成してきた。こうした民俗知識は、他地域の漁民、商人、本草学者たちとの交流でさらに展開する。本稿で取り上げたのは、ウミガメのみであるが、その他の魚類、海洋生物に関する知識なども同様であろう。このような、豊かな民俗知識がはくぐまれた紀州で、本草学者たちは活躍してきた。本草学者たちは野外に出て、漁民の民俗知識と文...

玉稿拝受(真宗肖像彫刻、神像と近代)

「ひとつは、肖像画においては、親鸞以来、生前に制作がなされる事例が確認できるのに対し、肖像彫刻の造立はいずれも像主の没後であり、生前に造立が遡る「寿像」の存在は確認できない点にある。このことは、禅宗あるいは時宗の肖像彫刻に「寿像」が少なからず存在することを思えば、一線を画している。しかも像内には遺骨(焼骨)が納置される場合が多く、これが中世真宗の肖像彫刻を造立する契機となり得たものとも考える。ふた...

拙稿紹介「中津川行者堂(極楽寺)の修験道関連資料」

「本稿では、中津川行者堂(極楽寺)と熊野神社の修験道関連資料について紹介した。筆者の力量不足で碑伝・護摩札の内容分析にまで踏み込めず、また各資料を総合的に把握した修験道史の叙述も行えなかったが、今後これら資料の分析を通じて、中津川の宗教環境の形成過程や、聖護院により葛城修験の拠点として位置づけられる過程について、粉河寺と本寺である聖護院の関係性についても注視しながら、検討していく必要がある。 そう...

玉稿拝受(「展示会およびその調査から展開する地域文化遺産の保護活動」)

「日本近代彫刻史において塩田行屋の仏像は、深海宗慶、明治時代の山形の仏像、宗慶が竹太郎に与えた影響、後年の竹太郎の造形、などを理解する手掛かりにもなろう。近年の研究においては、明治時代の彫刻は江戸時代から完全に断絶したものではなく、ある程度の連続性を持って捉えようとする傾向が強まっている。たとえば、江戸時代末期から続く仏師・人形師などを生業としたり修行したりした経験を持つ者が明治時代に彫刻家として...

玉稿拝受(「京都・三時知恩寺の善導大師像」「龍華寺本『三国祖師影』について」)

「このたびの保存修理により、本像は、文禄五年(一五九六)、大仏師大蔵卿法印の作であることが明らかとなり、また、制作当初の彩色と容貌をよみがえらせることになった。桃山時代の本格的な肖像彫刻である本像の存在は、今後、近世彫刻史および浄土宗美術史の分野において、重要作品として評価されることが期待されるだろう。」(14頁)萩原哉・明珍素也「京都・三時知恩寺の善導大師像」(『武蔵野美術大学研究紀要』42、2012年...

玉稿拝受(「愛知・瀧山寺聖観音・梵天・帝釈天像の付属荘厳具」)

「本荘厳具の意匠を検討した結果、聖観音分には、一部に東寺講堂像への志向が見られ、飛鳥・白鳳意匠の積極的摂取が確認された。(中略)こうした聖観音の像容は、飛鳥・白鳳期の事象に対する何らかの意識が制作主体側に存し、それが造形に表れたものと考えられる。東寺の瀧山寺や当地に勢力をもった熱田大宮司家、そしてその一族で瀧山寺住僧だった寛伝と源頼朝の関係を考慮すると、その意識とは聖徳太子に関わるもので、荘厳意匠...

玉稿拝受しました(横須賀美術館建設反対運動、中世箱根における温泉と地蔵)

「市長を始め推進派は、議会制民主主義のルールを盾に、「市立美術館の建設」を強行した。基本計画の策定に際して、市民側が十分な点検・意見表明を行うことの必要性が、今後の教訓としては明らかになったと言える。 美術館における「市民参加」とは、イベントの開催やボランティアの導入という次元を超え、自分たちの税金で美術館を持つのか持たないのか、持つとすればどのような美術館を持ち、いかなる運営をしていくのか、どの...

玉稿拝受(「熊野の補陀落渡海」)

「補陀落渡海の行儀には、渡海船の構造や葬送習俗など、水葬儀礼が確実に息づいている。そこには、日本人の葬送民俗の深層と、死と再生という死生観の根源的な問題が沈殿しているように思う。 熊野の補陀落渡海は、濃厚な海上他界観を基層文化にした、生に裏打ちされた「南方往生」の企てであり、後には水葬と化す常世の郷愁をかりたてる深奥への魂の回帰であった。」(101ページ) 山本殖生「熊野の補陀落渡海―水葬儀礼に着目し...

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プロフィール

大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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