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京都文化博物館「保存と修理の文化史」、京博「豪商の蔵」、奈良博「薬師寺の名画」、東大寺ミュージアム「二月堂修二会」鑑賞記

2月17日京都文化博物館 保存と修理の文化史(1月5日~3月4日) 日本の歴史上において、折々の価値観において重要と認識された資料が、管理され、修理され、継承されてきた事例を丹念に拾い起こし、その心性(作善、権威の継承、組織の継承等)を浮かび上がらせるとともに、修理に携わった人々の存在をクローズアップする。誓願寺文書の箱や巻子外装に幾度も貼られた付箋、薬師寺吉祥天像の旧下地・表装類、きらびやかな絵画...

高野山霊宝館「密教の美術-霊宝館収蔵宝物お蔵出し!」鑑賞記

1月20日、2週間ぶりの休みで、寒さも少しやわらいでいるので、ようやく高野山へ向かう。高野山霊宝館 密教の美術-霊宝館収蔵宝物お蔵出し!-(12月9日~4月8日) これまでに展示機会の少なかった資料を中心に公開。初公開の能・狂言面5面は、中将とされる男面の面裏に「真徳院作」と刻銘があり、古沢厳島神社の慶長15年(1610)銘悪尉の作者と同人で貴重な発見。目の見開きの大きい表情など近世能面としての定型化が見られない...

細見美術館「末法」、京都文化博物館「至宝をうつす」、京博「いぬづくし」「梵音具」鑑賞記

12月20日細見美術館 末法/Apocalypse-失われた夢石庵コレクションを求めて-(10月17日~12月24日) 宗教美術を中心とした資料群をフィクションによって結びつけて集約し、展示自体を一つの物語として提示する。伝来場所より切り離された美術資料を個人が「収集」し「所有」する行為を前景化させつつ作品との対峙を促すもので、それゆえ伝来情報も資料の価値評価もまた各自が対峙し判断するべき要素となる。公立館では不可能な...

永青文庫「細川家と天下泰平」、慶應義塾大学図書館「空海と密教の典籍」、神奈川県立金沢文庫「唐物」鑑賞記

12月14日、会議出席のため早朝から東京へ出立し護国寺へ。お昼までで会議が終了したので、永青文庫・斯道文庫・金沢文庫と文庫巡り。永青文庫 熊本大学永青文庫研究センター設立10周年記念 細川家と「天下泰平」-関ヶ原からの40年-(12月9日~1月28日) 細川家文書を活用して、藤孝・忠興・忠利の細川三代における戦乱から治世への転換期の動向を提示。細川忠興像、細川忠利像や、当主と家臣・家臣団との関わりを示す古文書、...

島根県立古代出雲歴史博物館特別展「島根の仏像」鑑賞記

11月30日、担当特別展の展示替え期間ながら、順調に作業を進めて奇跡の中休みを確保して、出雲へと向かう。島根県立古代出雲歴史博物館 特別展 島根の仏像-平安時代のほとけ・人・祈り-(10月20日~12月4日) 島根県内に伝来する特色ある平安時代彫像を集約して公開する。清水寺十一面観音立像(9c)、萬福寺(大寺薬師)薬師如来坐像・四天王立像、佛谷寺薬師如来坐像・菩薩立像、禅定寺聖観音立像・阿弥陀三尊像などの9~10...

茶道資料館 「仏教儀礼と茶」鑑賞記

11月23日、京都での仕事の後、茶道資料館に駆け込む。閉館時間が早く、滑り込みセーフ。茶道資料館 特別展 仏教儀礼と茶―仙薬からはじまった―(10月3日~12月3日) 仙薬としての茶の役割とそれが受容される仏教儀礼の場に着目して資料を集める。星宿に除災や長寿を祈る北斗法では祭壇上に茶と菓が献じられることを北斗曼荼羅や聖教類から提示し、また中国・天台山における羅漢信仰と山中の石橋での羅漢への呈茶について宋元代の...

大津市歴史博物館「大津の都と白鳳寺院」鑑賞記

11月15日大津市歴史博物館 遷都1350年記念企画展 大津の都と白鳳寺院(10月7日~11月19日) 天智天皇6年(667)に建都された大津京の姿と仏教との深い関わりを、主に出土した瓦と塑像断片から紹介するとともに、当該時期とその前後に渡る日本・中国・朝鮮半島の塼仏・金銅仏の優品を集約して、白鳳期仏教美術の特徴を浮かび上がらせる。崇福寺・南滋賀町廃寺・穴太廃寺等の出土資料とともに、塑像・塼仏の比較のため川原寺・山...

奈良国立博物館「正倉院展」、天理大学附属天理参考館「天理図書館 古典の至宝」鑑賞記

11月13日奈良国立博物館 第69回 正倉院展(10月28日~11月13日) 最終日に滑り込み。お昼に重なったからか、並ばず入館できる。今年は緑瑠璃十二曲長坏がメイン。羊木﨟纈屏風と﨟蜜、﨟蜜袋を並べ、楽器では尺八2管と箜篌の残欠と復元品。会場には尺八の音が響く。伎楽面と錫杖をじっくりと鑑賞しておく。図録あり(152ページ、1200円)。なら仏像館では室生寺の弥勒菩薩立像、釈迦如来坐像がさらりと並んで豪華。天理大学附属...

国立能楽堂「黒川能「鐘巻」」「野崎家能楽コレクション」、東博「運慶」「室町時代のやまと絵」鑑賞記

11月11日、黒川能鑑賞のため日帰りで東京へ。東京国立博物館 特別展 運慶(9月26日~11月26日) 2回目。長岳寺阿弥陀三尊像のうち中尊と観音像が退き、勢至菩薩像が居残り。代わって瑞林寺地蔵菩薩坐像がお出まし。正面は十重二十重の人垣であるので、横に回って長岳寺像と瑞林寺像の側面観を比較。中金堂四天王像(元南円堂安置)も見納め。これとの比較で検証した東大寺持国天像についての拙稿はすっかり埋没。書いた本人が1...

有田市郷土資料館「念仏行者徳本」、龍谷ミュージアム「地獄絵ワンダーランド」ほか

11月9日、午前中に代休取って有田市へ。有田市郷土資料館 特別展 念仏行者徳本-200回忌記念-(10月14日~12月10日) 江戸時代後期に全国で熱狂的に信仰された紀伊国出身の浄土宗僧徳本について、和歌山県内の博物館で初めて開催された本格的な徳本展。西法寺徳本上人坐像、誕生院徳本上人絵伝、往生寺徳本上人縁起絵巻のほか、さまざまな種類の六字名号も集める。地域に残る資料によって徳本を丁寧に浮かび上がらせる好展示で...

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プロフィール

大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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