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「仮面は語る―和歌山県の翁面―」

「仮面は語る―和歌山県の翁面―」 (『保存会だより』45、2016・3) 大河内 智之1 「翁」とは 芸能における「翁」について、『日本民俗大辞典』(執筆西瀬英紀)から、やや長いが引用する。【翁】:猿楽の演目で、祝福の祝言を行い、その場所をことほぐ内容を持ち、式三番ともよばれた。能の番組の最初に演じられ、ストーリーをもたない内容から「能にして能にあらず」といわれ、儀礼的曲目として扱われている。鎌倉時代にさか...

犯罪被害に遭う仏像-文化財盗難についての現状と対策-

犯罪被害に遭う仏像-文化財盗難についての現状と対策-大河内 智之 近年、仏像などの文化財を対象とした盗難被害が全国で頻発している。文化財が市場価値のある「商品」という見方が広がる一方で、老若男女を問わない仏像愛好のブームも続いている。結果的に美術品として仏像などを求める需要者層が拡大し、それに対して盗難品を供給し利益を得ようとする犯罪者が現れているのが、基本的な構図とみられる。盗難被害資料の中には...

粉河小学校での講座「未来へ伝える私たちの歴史」

 平成25年10月4日、紀の川市立粉河小学校にお邪魔して、6年生のみなさんに「未来へ伝える私たちの歴史-文化財を守るために-」という題名で、お話しをしてきました。講演後も、興味を持ってくれた生徒が内容を振り返ることができるよう、できるだけ分かりやすくと心がけて資料を作成しましたので、ここに掲示します。45分×2コマで、1~5章を5時間目、6~10章を6時間目にお話ししました。「未来へ伝える私たちの歴史-文...

中学生に伝える「文化財をなぜ守るのか?」の理路

 11月13日に、和歌山市立東中学校の総合学習「出会いに感謝して」の外部講師としてお話をする内容を、アップします。大急ぎで作ったので、論理のやや甘いところもあるのですが、なんとか文化財を身近に、大切なものと感じてもらえるようにという思いです。画像が無いと、分かりにくいかもしれません。ご容赦。文化財をなぜ守るのか?―和歌山県の魅力あふれる歴史と文化を未来へ伝える―(和歌山県立博物館 学芸員 大河内 智之)1...

拙稿紹介「ロビー展「仮面の世界へご招待」がもたらしたもの」

「ユニバーサル・ミュージアムという概念には、おそらく「これだけしたら十分だ」という達成点はないでしょう。もしあるとすれば、この博物館は自分のために作られている、と誰もが感じられた場合です。もちろんそれはなかなか難しいことです。 それでも、一人でも多くの人に充実感を抱いてもらうためにどうすればよいのかという問いは、決して難しいものではないと思います。本稿での紹介をふまえれば、それは情報が届きにくい人...

拙稿紹介「参詣者を惹きつけた熊野三山の魅力」

「二〇一一年九月に発生した台風12号により起きた洪水は、熊野川、那智川の流域で多くの集落を呑み込む空前の被害となり、熊野の景観にも大きな影響を及ぼした。 熊野の文化的景観は、雄大な自然を畏れ、祀り、共生する中で、人と自然がともに織りなし築きあげられてきたものである。時に自然の荒々しさ、厳しさに翻弄されながら、そうした試練を受け止めてきた熊野の歴史を振り返り、確かな復興への道を歩んでいかねばならない。...

シンポジウム「ユニバーサル・ミュージアムの理論と実践」まとめ

 国立民族学博物館で、10月29日、30日の両日にかけて開催された公開シンポジウム「ユニバーサル・ミュージアムの理論と実践-博物館から始まる「手学問のすゝめ」-」に参加してきました。 シンポの趣旨は次の通り。 科学研究費プロジェクト「誰もが楽しめる博物館を創造する実践的研究」(通称「ユニバーサル・ミュージアム研究会」)は、09年度から各地のミュージアムで研究集会とワークショップを開催してきた。このシンポジ...

拙稿紹介:十五世紀の熊野における不動堂本尊の造像

 本稿では、寛正四年(一四六三)と応仁元年(一四六七)というごく近接した時期に相次いで行われた、熊野三山における不動堂本尊造像についてそれぞれ検討した。各論旨を再度まとめておく。 ①湯峰東光寺所蔵の寛正四年康永作の不動明王二童子像は、本宮と湯峰の間で仏像の移動があった実例が確認でき、諸資料の検討により熊野本宮では寛正二年の火災後、寛正六年ごろにかけて復興造営は行われていたことが分かることから、もと...

歓喜寺地蔵菩薩坐像(胎内仏)について

 本像は鎌倉時代前期、一二二〇~一二三〇年代ごろに、紀伊国を代表する武士団・湯浅党の有力者の発願によって慶派仏師によって造像されたと考えられる。保存状態も良く、彫刻・彩色ともに極めて精緻な仕上がりを見せる新出の優れた鎌倉時代彫刻である。 本像の造像後、明恵高弟の喜海によって建長元年(一二四九)に歓喜寺が創建されたのち、平安時代前期の地蔵菩薩坐像(重要文化財)の像内に納められ、胎内仏として伝来した。...

奉修葛城修行採灯大護摩供2011

2011年4月10日、中津川行者堂(和歌山県紀の川市中津川)で、聖護院による採灯大護摩供が勤修されました。ここは、葛城修験の中胎とよばれ、葛城灌頂もここで行われる重要な場所です。五鬼とよばれる行者に奉仕する家も健在です。 朝、粉河寺を出立した聖護院の一行は、いったん行者堂に参集し、直ちに葛城修験の第七経塚に登り、戻ると中津川の熊野神社、行者堂と巡拝・読経して、行者堂前広場で大護摩供を行いました。 今年は...

Appendix

プロフィール

大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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