読書記録、2012年1月分。論文は除く。発行年月日は初版のもの。内田樹『呪いの時代』(新潮社、2011年11月)「人はどれほどわかりにくいメッセージであっても、そこに自分に対する敬意が含まれているならば、最大限の注意をそこに向け、聴き取り、理解しようと努める。そういうものです。だから、もしあなたが呑み込むことのむずかしいメッセージを誰かに届けようと願うなら、深い敬意を込めてそれを発信しなさい。それがコミュニ...
読書記録、2011年12月分。論文は除く。発行年月日は初版のもの。小山靖憲「世界遺産吉野・高野・熊野をゆく」(朝日新聞社、2004・8、再読)「解禁か否かの議論をみてみると、解禁に反対する人びとは口々に「伝統」を主張するにもかかわらず、いつから始まったどのような伝統なのか、説得的な議論を一向に展開していない(中略)女人禁制(女人結界)は、原則として撤廃されるべきであるが、解禁に反対する人びとを完全に説得でき...
読書記録、2011年11月分。論文は除く。発行年月日は初版のもの。伊藤裕偉『聖地熊野の舞台裏ー地域を支えた中世の人々』(高志書院、2011年3月)「熊野三山の近隣地域は、無条件に熊野三山につながっていると思いがちである。確かに関わりは深いが、実態はもっと複雑で、それほど単純ではないのであろう。地域はそれぞれの個性によって独自の動きを示す場合がある。相野荘・鵜殿荘の動向もそういった観点から見直す必要がある。」...
読書記録、2011年10月分。論文は除く。発行年月日は初版のもの。内田樹『レヴィナスと愛の現象学』(文藝春秋、2011年9月)「正義と慈愛、「語ること」と「語られること」、全体性と無限、超越と内在、男性と女性…人間性の条件とは、まさしく「一でありつつ二である」こと、引き裂かれていることによって、知性と自由を確保する困難な選択のうちに存するのである。」(352ページ)ロラン・バルト著、森本和夫・林好雄訳註『エクリ...
備忘のための読書記録、2011年9月分。論文は除く。発行年月日は初版のもの。 山川均『石造物が語る中世職能集団』(山川出版社、2006年8月) 「つまり慶政は、開元寺東西宝篋印塔や南建築史博物館宝篋印塔2(本来は開元寺に所在)に日常的に接していた。開元寺東塔の造立が先述のとおり一一四五(紹興十五)年のことであり、南建築史博物館塔2は形式的にそれより新しいものとみられるので、慶政が泉州に滞在した一二一七年と...
備忘のための読書記録、2011年8月分。論文は除く。発行年月日は初版のもの。 吉見俊哉『大学とは何か』(岩波書店、2011年7月) 「大学とは、メディアなのだ。メディアとしての大学は、人と人、人と知識の出会いを持続的に媒介する。その媒介の基本原理は「自由」にあり、だからこそ近代以降、同じく「自由」を志向するメディアたる出版と、厭が応でも大学は複雑な対抗的連携で結ばれてきた。中世には都市がメディアとしての大...
備忘のための読書記録、2011年7月分。論文は除く。発行年月日は初版のもの。 井上寛司『「神道」の虚像と実像』(講談社、2011年6月) 「今日の日本を特徴づける、国民の圧倒的多数が「無宗教」を唱える「融通無碍な多神教」という特異な宗教の基本骨格は、直接的には、この強権的な「国家神道」の成立によってもたらされたものだったのである」(192ページ)。高橋源一郎・内田樹選『嘘みたいな本当の話-[日本版]ナショナル・...
備忘のための読書記録、2011年6月分。論文は除く。発行年月日は初版のもの。宮家準編『山岳修験への招待―霊山と修行体験―』(新人物往来社、2011年3月) 「こうした峰入修行によって得られる境地は要言すれば、「如実知自心」「自然法爾」という仏語に尽きる」(宮家準「山岳修験・峰入修行とは何か」、18ページ)。全体的に校正が不足気味のようで、文字の間違いが目立つ。上田さち子『修験と念仏-中世信仰世界の実像』(平凡...
備忘のための読書記録、2011年5月分。学術論文は除く。発行年月日は初版のもの。赤尾勝己編『生涯学習理論を学ぶ人のために』(世界思想舎、2004年7月) 「準拠枠の変容とは、過去に無批判的に学習してしまった狭い枠組みから抜け出し、自己を幅広い選択肢・可能性に開くとともに、討議などを活用し思慮深く選択決定できるようになる、という思考プロセス面での変化を指す」(102頁、第4章変容的学習、執筆者常葉-布施美穂)谷...
備忘のための読書記録、2011年4月分。学術論文は除く。発行年月日は初版のもの。小山聡子『護法童子信仰の研究』(自照社出版、2003年10月) 「童子信仰は、末法思想を歴史的な背景として隆盛に赴いた。本書で指摘したように、童子は、平安中期から末期にかけて、貴族だけではなく一般庶民によっても信仰されていたのである。」(211頁)野本寛一『神と自然の景観論―信仰環境を読む』(講談社、2006年7月) 「かつて熊野川の吐...