備忘のための読書記録、2009年6月分。学術論文は除く。発行年月日は初版のもの。金子郁容『ボランティア もうひとつの情報社会』(岩波新書235、1992年7月)曾野綾子『「受ける」より「与える」ほうが幸いである』(大和書房、2005年10月)養老孟司・テリー伊藤『オバサンとサムライ』(宝島社、2004年8月)白洲信哉『白洲正子の贈り物』(世界文化社、2005年3月)茂木健一郎・南直哉『人は死ぬから生きられる―脳科学者と禅僧...
飛鳥寺(奈良県高市郡明日香村飛鳥) 講義を終え、親を見舞って、立ち寄る。最近読んだ本で軒並み飛鳥大仏のことを触れていて、久野健『仏像の歴史』(山川出版)を読み直していたらまた違う見方をしているのに気づき、急に思いついてご拝観。日本書記に止利仏師作とする丈六の釈迦如来坐像(重文)。文化史的にいえば、国宝だよなあ、と思う。そばの亀型石造物も見る。が、拝観料(300円)が必要になっていて、びっくり。ついで...
香雪美術館・朝日新聞創立者 村山龍平蒐集 仏教美術の名品(5月14日?6月28日) 最終日に滑り込み。これまで公開することのほとんど無かった村山龍平収集品をお蔵出し。展示資料の主体は大正3年発行の『玄庵鑒賞(げんなんかんしょう)』収録品。妙法蓮華経寿量品は紺紙金字で金属製の標題が着くが、金剛峯寺所蔵の紺紙金字法華一品経(開結共)(重要文化財)の新出僚本。昨年仕事で2巻借用し展示したので間違いなし。あとは...
博物館経営論講義(帝塚山大学)のアンケート2009年度第9回目、「あなたのやりたい展覧会は?キャッチコピーは?」。回答50音順です。・今歴史がブームなので戦国時代の武具や人物の紹介をしたいです。「戦国の世」・歌川広重・葛飾北斎などの有名な浮世絵師の作品から、マイナーなものまで取り扱った、歌舞伎や能などの芸能を題材とした浮世絵展。「時代を超えて存在する芸の達人」・大阪の歴史。「写真で見る大阪の歴史―天下...
高天彦神社(奈良県御所市高天)講義を終えて、帰路、立ち寄る。古事記に記される高天原の地とされる。古代の有力豪族・葛城氏の祖霊祭祀の地。そばを何十回と通りながら、初参拝。この高天からは奈良盆地、吉野・大峰の峯々が一望に見はるかすことができ、神話の原型(の一つ)であることは確かなよう。橋本院(奈良県御所市高天)こちらも初参拝。修験道の道場。本尊は像高5.4mの長谷寺式十一面観音像。知りませんでした・・。...
昨日(2009年6月19日)、NHK和歌山放送局の夕方の番組で、私が職場で担当しているマイミュージアムギャラリーのご紹介を生中継でしていただきました。当方もアピールのため出演させていただいたのですが、6時45分から3分程度の生中継のため、3時頃から準備をはじめ、当方も混じったリハーサルが6回、NHKのアナウンサーのリハーサルも数回行うという、まあなんと綿密に準備をされることよ、と興味深く観察していました。紹介...
博物館経営論講義(帝塚山大学)のアンケート2009年度第8回目、「博物館・美術館で感動したことはありますか?」。回答50音順です。■ある 22人 ■ない 4人【感動したシチュエーション】・鑑真和上展の鑑真像を見たとき、そのおだやかな表情に感動した。・鑑真和上展を見に行く前に仏像ガールと呼ばれる人の仏像に対する“おもしろいもの”(歴史的なものだけじゃない)という概念に触れ、展覧会を訪れた時。・高野山が世界遺産...
「中国式服制の出現は、仏教そのものの中国化でもある。(中略)それは中国固有の習俗への無批判な同化ではなく、それらとの対立と融和(妥協)の産物であるということが、本稿で最も強調しておきたいことである。」(岩井2007、290頁)岩井共二「中国南北朝時代における如来像の中国式服制出現に関する試論―三教交渉を軸として―」(宮治昭先生献呈論文集編集委員会編集 『汎アジアの仏教美術』、中央公論美術出版、2007年12月)岩...
「太子と大師を併画する作例の個々の羅漢は、金大受筆本を直接採り入れたのではなく、前章で述べた十六羅漢図と同様、金大受筆本を中心にしつつ様々な羅漢の図像を摂取した「日本化」した羅漢を組み合わせている。そして大師と太子を加えることでさらに「日本化した」羅漢図として成立し、相互に影響を及ぼしつつ展開していったと見なすことができよう」(石川2009、78-79頁)石川知彦「羅漢図の変容」(『日本と≪宋元≫の邂逅―中世...
博物館経営論講義(帝塚山大学)のアンケート2009年度第7回目、「ところで、学芸員、本気でめざしている?専門分野は?」。○目指している→13人 目指していない→11人○目指している派(専門分野)・この道を目指したきっかけが「日本刀展」なので私もそういったジャンルでやっていきたいです。・作家・小説家を扱った文学館や作家の生の原稿用紙を展示していたりする博物館。・なれるなら美術館関係の学芸員になりたい。・美術館...
額安寺 大学の講義を終えて、帰路、ふと立ち寄る。随分昔、十数年前に訪れたような気がするが、その時には一般公開はされていなかったように思う。今回もちょっと様子をうかがうぐらいのつもりだったが、受付ができていて拝観料をお支払いすればご拝観できるようになっていて少しおどろく。 本堂の本尊は等身大の十一面観音立像で、やや判断が難しいが室町時代の製作と見られる。納められている宮殿型厨子も室町時代か。脇侍の...
国立国際美術館・杉本博司 歴史の歴史(4月14日?6月7日) 締め切りの過ぎた原稿を抱えて後ろめたい気持ちもありつつ、終了間際の同展に滑り込む。いろいろなジャンルの作品があるが、お目当ては仏教美術や仮面。チラシにもなっている文殊菩薩像(鎌倉時代)や伊勢参詣曼荼羅(室町時代)などの絵画や、父尉(鎌倉?南北朝時代)や延命冠者(南北朝?室町時代)など古い仮面を鑑賞。 しかし子連れのためか、肩身の狭い思いをする...
日本では、博物館・美術館職員の職業倫理規定に相当するものは、現在のところ作られていません。博物館・美術館で働く職員が守るべき倫理基準は、現状、「個々人の常識」・「業界の常識」・「母胎となる組織の規定」等で運用されている状況といえるかと思います。 しかし世界に目をむければ、国際博物館会議(ICOM)の職業倫理規定があり、微に入り細に入る規定が提言されています。国内でも、日本図書館協会が図書館員の倫理要...