大阪市立美術館特別展 道教の美術(9月15日?10月25日) 道教とは何かを概観する初めての展示。多種多様な資料群は、あれも道教、これも道教と、その広がりの大きさを提示する。日本における諸宗教や文化には汎東アジア文化として道教の要素が多く取り込まれている。にもかかわらず、日本の道教を見渡す機会が少なかっただけに画期的。新たな認識・思考の枠組みを広く提示するという点に本展の意義はあり、人文科学系学問の存在...
懸案の原稿、設定された締め切りから1ヶ月遅れて、やっと入稿。ほんの少しまとまった時間があれば・・、と思いながら、隙間の時間でちょこちょこと進め、ようやく完成。引き受けた時にはここまで執筆時間がとれないとは思いませんでした。割り当ての文字数は少ないのに、語るべき内容のボリュームは大きく、いかに文章を削るかで苦労する始末。朝日新聞出版で新たに刊行されている「国宝の美」の24号で、熊野速玉大社の国宝神像...
本繪巻は、これまで繪巻の主題として選擇されることが少なかった「中国故事」を描き出した作例として注目できるだろう。そして同時に、初期狩野派が手がけた扇面畫における中國故事の繪畫化を見ていく上でも重要な作例たりうると考えられる。(土谷2008、43頁)土谷真紀「研究資料 「程嬰杵臼豫譲絵巻」について」(『國華』1355、2008年9月)ありがとうございました(文中の漢字表記は掲載誌の方針によるもので、そのまま引用し...
安倍文殊院 建仁3(1203)年快慶作の本尊文殊菩薩坐像が、修理のために獅子からおろされていることを、神奈川仏教文化研究所さんの特選情報で目にしたので、10日ぶりの休みに親の見舞いがてら、子を連れて立ち寄る。いつもは見上げている文殊像を、より近くにみられるよい機会。髻や裙裾のようすなどの細部形式や、体型や面相部の表現を頭に入れておく。お接待の落雁と抹茶を、初体験の子に与える。おいしいって。頼もしい。橿原...
無事オープンした熊野三山の至宝展。 初日のイベントのあとも、大人大学(地元新聞社主催の社会人講座)の講義・見学会、世界遺産熊野地域協議会(熊野三山・地元自治体による協議会)主催の見学会、就実大学の文化財講座・見学会、京丹後市教育委員会の研修会と、団体の対応が続き、今日・明日は歴史体験ツアーでマイクロバスにのって現地見学会に行ってきます。明後日は和歌山県文化財保護協会の講座・見学会、連休中も館長講...
チベット芸術フォーラムより、下記イベントの情報をご提供頂きましたので、掲示いたします。ご担当者によりますと、「この度、東京・上野の森美術館で開催される「聖地チベット展」に合わせて、チベットの芸術文化とチベット問題にフォーカスした講演会を企画しております。美術館で展示されている、いまは中国政府の管理下にあるチベットの仏様たちや宝物は、どのような歴史を背負って、はるばる日本までお越しになったのか??。...
高野山霊宝館第30回 高野山大宝蔵展 高野山の名宝 (7月18日?9月27日) 3週間ぶりの休み。会期も終盤になってしまった同展に朝一で駆け込む。毎回大宝蔵展は名作揃いだが、今回は運慶作・八大童子立像(金剛峯寺・国宝)、諸尊仏龕(金剛峯寺・国宝)、有志八幡講十八箇院の五大力菩薩像(国宝)3幅と、普賢院の五大力菩薩像(重文)4幅の、ずらり並んだ合わせて7幅の大画幅などがみどころ。高祖院の弘法大師像(南北朝...
このように本群像を眺めてみると、天喜元年時点は一面では画期的であったと言えるかもしれない。すなわち、独自の造形感覚を発揮しながらも、十世紀半ばから徐々に現れはじめた古典復古の意識を一気に加速させた定朝や、その継承よりも新しい時代に即応することに意を注いだ長勢・覚助といった、方向性の異なる仏師たちの混在した時期であった。(和澄2009、83頁)和澄浩介「平等院鳳凰堂雲中供養菩薩像にみる定朝工房の諸相」(『...
9月8日、担当特別展、無事にオープンしました。 朝一番から図録販売の準備をどたばたと行い、オープン早々、地元テレビ局が取材に入ってくださり、即インタビュー。午後からのオープニングイベントにむけてまたどたばた準備をし、出演者との打ち合わせを行い、いよいよ緊張の一瞬。 新宮市の元学芸員山本殖生さんが熊野比丘尼に扮して行う熊野三山参詣曼荼羅の絵解きと、和歌山大学の学生と協力して作った新編那智参詣曼荼羅...
いよいよ、世界遺産登録5周年記念特別展「熊野三山の至宝―熊野信仰の祈りのかたち―」のオープンです。展示替え最終日の今日は、和歌山放送(ラジオ)の取材・収録が午後に、NHK和歌山の取材・収録が夕方から夜にかけてあり、どたばたしたまま時間切れ、という感じです。 展示空間作り、成功した部分と、思っていたようにはいかなかった部分がすでにあり、不完全燃焼。パネルが多すぎた・・。展示資料も多すぎた? 初日にはオ...
両腕と体部材との結合には、それぞれ別製の木製蟻枘を用いていることが判明した。蟻枘の長さは矧ぎ面の半分程度(長二八?)で、蟻枘の腕材への固定には左右とも日本の木釘あるいは竹釘を用いている。(丸山・神庭・浅見・今津・楠井・鳥越2009、6頁)丸山士郎・神庭信幸・浅見龍介・今津節生・楠井隆志・鳥越俊行「光得寺大日如来坐像のX線コンピュータ断層撮影(CT)調査報告」(『MUSEUM』621、2009年8月)...