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「ミュージアムは誰のためのものか」

 博物館経営論(帝塚山大学)のアンケート、14回目、最終回です。ミュージアムは誰のためにあるのか、という根源的な問いに答えてもらいました。■ミュージアムは誰のためのものか?(回答50音順)・あらゆるひとのため。・今生きているすべての人のためにあると思う。・訪れる人みんなのものであると考える。・国民のもの。・国民すべてのもの。・子どもと、昔子どもだった人のためのもの。・社会のため、地域のため、地域の人の...

玉稿頂戴しました(20100725)

津市白山町は、常福寺の千手観音立像や瀬古区十一面観音立像という平安初期の二体の観音像をはじめ、成願寺の阿弥陀如来倚像(鎌倉時代)等、市内でも近接する周辺の地域に比べて優れた作風の仏像が比較的まとまって伝来している。円空作の大日如来坐像も、小像ではあるが白山町における江戸時代を代表する仏像として注目されよう。(滝川2010、54頁)滝川和也「津市白山町の円空作木造大日如来坐像について―新知見の円空仏―」(『...

みなべの仏像、そして明恵

 7月23日、午後から梅で有名なみなべ町へ。南部公民館主催の南部長寿大学で仏像のお話をし(「きのくにの仏像―みなべ町の仏像と地域の歴史」)、高速道路にのって帰路に着くも、夏休み中は白浜からの帰りの車で大渋滞。一般道で迂回するついでに、久しぶりに湯浅町の施無畏寺の横を通り、ええいせっかくだからと明恵上人の紀州八所遺跡のうち、西白上遺跡と東白上遺跡を訪問。 西白上遺跡。ここからは鷹島や刈藻島、久礼島が眼...

展覧会・文化財を見てきました(2010年7月20日)

高野山霊宝館・夏期特別展 ちいさなほとけさま(7月17日?9月26日) 大きさの小さいもの、細かな細工や文字、童子や子どもの姿など、さまざまな「小さきもの」に着眼し、その小ささの中にある大きな世界観を、バラエティーに富んだ高野山の文化財を横断して展示する。仏像では、孔雀明王坐像(快慶作、重文、以下所有者名を記さないものは、金剛峯寺蔵)、毘沙門天立像(胎内仏・重文)、制多迦童子・矜羯羅童子立像(運慶作、...

「携帯電話にまつわる思い出」

 博物館経営論(帝塚山大学)のアンケート、13回目。ミュージアムが人といかにリンクするかということを話す中で、和歌山県博のマイミュージアムギャラリーを一つの事例としました。 誰もが思い出の品を持っています。そんな資料と思い出を、あわせて展示することで資料の見え方は変わります。それはあらゆる資料が経てきた歴史性に目を向けるということであり、資料の一品性(逸品性)に気付く、ということです。マイミュージア...

玉稿頂戴しました(2010年7月17日)

「金剛智がまとう褐色の袈裟。このイメージの伝統は決して滔々と流れ続けるものではなかった。少なくとも中世にはほとんど忘れ去られていたといっても過言ではない。いま「金剛智の袈裟」と聞いてどれほどの人が褐色の袈裟を思い浮かべるだろうか。達磨とその袈裟のイメージの固着性との隔たりは大きい。」(児島2009、70頁)児島大輔「金剛智の袈裟―正倉院宝物に関する覚書―」(『奈良美術研究』8、2009年3月)児島大輔「正倉院...

「博物館・美術館が役立ったことはありますか?」

 博物館経営論(帝塚山大学)のアンケート、12回目。「社会とリンクする博物館」という内容で講義を行い、「具体的に利用者をイメージして、ミュージアムが何のために役立つのかを考える。社会との接点に敏感に。調査・研究・展示が(学芸員の)自己目的化してはいけない」と話しました。 ただ、「役立つ」の定義次第ではいろんなニュアンスを含みうる文章です。役立たないミュージアムはつぶしてしまえ!なんて議論の「役立つ」...

分岐点

 今年は、和歌山県博に就職して10年目。この10年を振り返ると「鞆淵八幡宮と鞆淵荘」「根来寺の能面」「根来寺の歴史と文化」「天野の歴史と芸能」「空海と高野山」「きのくに仮面の世界」「熊野速玉大社の名宝」「浄教寺の文化財」「熊野・那智山の歴史と文化」「熊野本宮大社と熊野古道」「田辺・高山寺の名宝」「奇跡の仮面、大集合!」「木食応其」「熊野三山の至宝」「移動する仏像」と、主担当のものもそうでないものもあり...

「あなたのやりたい展覧会の名前をキャッチコピー風に!」

 展覧会の名前で、見たいと思うかどうかの第一印象が決まるといっても過言ではありません。とはいえ、ついつい無難にお堅くまとめがちです。もちろん、単に広報上のメリットだけで展覧会名を決めるわけでもありませんが、ちょっとした工夫で印象は変わるものです。ためしに、受講生のみなさんに、やってみたい展覧会をキャッチコピー風の名前で教えてもらいました。■あなたがやってみたい展覧会の名前をキャッチコピー風に!・「...

読書記録(2010年6月)

備忘のための読書記録、2010年6月分。学術論文は除く。発行年月日は初版のもの。末木文美士『仏典をよむ―死からはじまる仏教史―』(新潮社、2009年4月)クロード・レヴィ=ストロース(山口昌夫・渡辺守章訳)『仮面の道』(新潮社、1977年8月)斉藤英喜・武田比呂男・猪俣ときわ『躍動する日本神話―神々の世界を拓く―』森話社、2010年5月)広瀬浩二郎『さわる文化への招待―触覚でみる手学問のすすめ』(世界思想社、2009年5...

Appendix

プロフィール

大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。

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