備忘のための読書記録、2010年8月分。学術論文は除く。発行年月日は初版のもの。武内孝善『弘法大師 伝承と史実―絵伝を読み解く―』(朱鷺書房、2008年7月)秋山聰『聖遺物崇敬の心性史―西洋中世の聖性と造形―』(講談社選書メチエ441、2009年6月) 嶋吉信・清水直子『がんばれ美術館ボランティア』(淡交社、2001年9月)ハンス・アビング著・山本和弘訳『金と芸術―なぜアーティストは貧乏なのか?』(grambooks、2007年1月)...
(8月28日)海の見える杜美術館・海の見える杜美術館至宝展 The Story―偉才のコレクター梅本禮暉誉の軌跡― Vol.3華麗なる書と厳かな古画の世界(7月4日?8月29日) コレクションを4期に分けて公開中。お目当ては那智参詣曼荼羅の異本。縦長の構図で、絹本に描かれる(研究史上では王舎城美術館本とされるもの)。絹本であるところに、異本成立の鍵があるのだろう。那智滝と川を縦長に配置することで画面の安定を図る。もう...
出張で暑い暑い熊野入り。帰路、少しだけ寄り道して滝見。田辺市本宮町請川の山中に入り、「お滝さん」へ。落差は20mほど。滝壺の底まで見える清流。滝の右側は、この画像からは想像できないような、高さ50mぐらいの岩壁。流れる滝の音がオーバーハングする岸壁に反射し、岩壁の中を水が流れているような錯覚を覚える。別天地。岩壁下に不動明王を祀る祠あり、岩壁には一部焦げた痕跡もあって、修験の行場でもあったらしい。 【...
また、仙台では決して豊かではないはずのカヤ材が本像に用いられていることは、カヤを用材とする原則が本像に強く作用していたことを考えさせる。そうであるならば、本像とさほど離れない時期に制作されながら、ケヤキやカツラといった材が用いられた他の東北地方の作例と本像との関係性も考えなければならない。(酒井2010、34頁)酒井昌一郎「十八夜観世音堂 菩薩立像の樹種同定結果をうけて」(『仙台市博物館調査研究報告』30...
千葉市美術館・MASKS―仮の面―(7月6日?8月15日) 日本・アジア・オセアニア・アフリカの仮面を集める。鎌倉時代とされるやや大ぶりの翁面、正中元年(1324)銘の多聞天面、室町時代の面奥の厚い立体的な賢徳に注目して鑑賞。仮面を作って写真を撮るワークショップもチェック。図録あり(184ページ、2000円)。大倉集古館・欣求浄土 ピュアランドを求めて―大倉コレクション 仏教美術名品展―(8月1日?9月26日) 大倉...
奈良国立博物館・特別展 仏像修理100年(7月21日?9月26日) 日本美術院による仏像修理の(約)100年史を、特色ある10数件の修理事例を取り上げて、濫觴期から現代までの活動の流れをさまざまな修理記録(図面、模型、手帳等々)と仏像で提示。伝統の墨守だけでも合理性の追求だけでもない、仏像ごとに異なる修理達成の理想形を、事例ごとに携わった人々が常に探り続けるなかで展開してきた「日本近現代彫刻修理史」の提示に努...
兵庫県立歴史博物館・特別企画展 なつやすみ親子シリーズ 変身 仮面のひみつ (7月17日?9月23日) 民博所蔵資料を中心に、世界の仮面の造形、素材、使用方法等の多様なあり方を提示。近現代のおもちゃの仮面や変身するヒーロー(ヒロイン)もフォロー。後半で少し展示される兵庫県所在の仮面中、長田神社の鬼面や桑野本区の行道面をチェック。図録なし。兵庫県立考古博物館・企画展 夏休み考古学ナゾとき教室 (7月17日?...
備忘のための読書記録、2010年7月分。学術論文は除く。発行年月日は初版のもの。桜井好朗『神と仏―仏教受容と神仏習合の世界―』(春秋社、1985年11月)阿部謹也『日本人の歴史意識―「世間」という視角から』(岩波新書874、2004年1月)内田樹・釈徹宗『現代霊性論』(講談社、2010年3月)内田樹『邪悪なものの鎮め方』(バジリコ株式会社、2010年1月)冲方丁『天地明察』(角川書店、2009年11月)松尾剛次『救済の思想―叡尊教団...
7月30日大阪府立弥生文化博物館・特別展 MASK―仮面の考古学―(7月17日?9月12日) 考古学的成果により全国で発見された縄文時代?弥生時代の仮面を一望する。仮面の発掘事例が増えつつあることや、鼻曲がり仮面や耳鼻口のパーツだけの仮面の地域偏在的な分布など、学問分野を違えると全然知らなかった事も多く参考になる。日本の仮面の文化史を考える上で、現時点での考古学的な達成を把握できる機会はありがたい。図録あり(10...