fc2ブログ

Entries

読書記録(2011年1月分)

備忘のための読書記録、2011年1月分。学術論文は除く。発行年月日は初版のもの。末木文美士『近世の仏教―華ひらく思想と文化―』(吉川弘文館、2010年7月) 近世仏教といえば「堕落」という古典的な見方からの転換をはかる。「堕落」は古代にも中世にもある。黄檗宗のインパクト、近世の戒律復興の意義。近世は儒教の時代ではなく仏教の時代だという主張は新鮮。山折哲雄『ブッダは、なぜ子を捨てたか』(集英社新書351、2006年...

展覧会・文化財を見てきました(2011年1月28、29日、高知県)

1月28日徳島市立徳島城博物館・企画展 館蔵浮世絵展(12月4日?1月30日) 近年に、3人の方からそれぞれ寄贈された浮世絵を活用して展示。浮世絵の基礎知識やジャンルなど紹介。コレクション形成の背景に、阿波の人形浄瑠璃や義太夫文化があるとのこと。伝来史が資料をさらに豊かに彩っている。常設展示の絵画作品なども鑑賞。 その後同館での講演会で講師を無事?務めて、一路高知入り。1月29日竹林寺 早めにホテルを出立...

展覧会・文化財を見てきました(2011年1月23日、安倍文殊院)

・安倍文殊院 宇陀へお見舞いに行って、帰宅途中に安倍文殊院に参拝。子にお抹茶を与えて、本尊拝観。快慶作の文殊菩薩騎獅像及び眷属像(重文)の群像は、順次進められている修理のため、善財童子像、仏陀波利三蔵像は不在。文殊はまだ獅子から降りていて、1月25日まで特別公開とのこと。 今回の注目は維摩居士像。修理にあたって像内に慶長12年(1608)南都大仏師宗印による制作であることを示す銘文が発見され、新たに重文に...

玉稿拝受(2011年1月23日)

「十世紀末から十一世紀初頭にかけて大きく発展し、前代とは一線を画した華麗な截金文様は、当時の人々にとって異国的なイメージを喚起したと考えられる。さらに、そこに七宝繋文があらわされていれば、まさに最新の大陸文化をそこに見いだしたことであろう。」(和澄2010、53ページ)和澄浩介「平安時代の截金文様と外来文化受容の様相」(『佛教藝術』313、2010年11月)ありがとうございました。...

玉稿拝受(2011/01/17)

「承久の乱の直前、公武対立の緊迫した状況のなかで運慶にはこの時期の院や中央貴族のための造像は知られず、徹底して鎌倉方の造像にたずさわった観がある。願主が運慶を選んだだけではなく、運慶の側にも、時代の先を読もうとする、ある種の選択があったかもしれない。乱直前の鎌倉方支持の姿勢こそが、運慶とその一族の名声を後世に残す要因になったようだ。」(山本2011、42ページ)山本勉『東国の鎌倉時代彫刻 鎌倉とその周辺...

玉稿拝受(2011年1月11日)

昨年末に、次の玉稿を頂戴しておりました。「つまり、いま検証したように、白鳳期の後期の制作と考えられる本像に、それよりさかのぼる「丙寅」年に「弥勒」像を天皇周辺で制作した、という事実を仮託した、という可能性が高いということである。」(礪波2010、39ページ)礪波恵昭「野中寺菩薩半跏像をめぐって」(中野玄三・加須屋誠・上川通夫編『方法としての仏教文化史―ヒト・モノ・イメージの歴史学―』(勉誠出版、2010年11月...

展覧会・文化財を見てきました(1/9、宇陀水分神社)

宇陀水分神社 お見舞いのため、奈良県宇陀市へ。病院を出て、近隣にある宇陀水分神社に久しぶりに参拝。三棟の本殿は元応2年(1320年)建立で、国宝指定。2003年に塗り替えされて、華麗。そのまま橿原市へ向かい、いろいろ片付けものをして、和歌山へ戻る。...

旧年を回顧し、新年を迎える

 平成22年の当方は、怒濤の展覧会ラッシュだった。 年初から、前の年の秋期特別展「熊野三山の至宝」(平成21年9月8日?10月18日)の開催中に急遽担当することになった春期特別展として、「移動する仏像―有田川町の重要文化財を中心に―」(4月24日?6月6日)を急ピッチで準備し開催。その会期中から、特別展「京都・安楽寿院と紀州・?あらかわ?―木食応其を支えた僧・覚栄の事績を中心に―」(9月18日?11月7日)の準備をサポ...

読書記録(2010年12月分)

備忘のための読書記録、2010年12月分。学術論文は除く。発行年月日は初版のもの。神田千里『宗教で読む戦国時代』(講談社、2010年2月)武田徹『殺して忘れる社会―ゼロ年代「高度情報化」へのジレンマ』(河出書房新社、2010年11月)萩上チキ・飯田泰之・鈴木謙介『ダメ情報の見分けかた―メディアと幸福につきあうために』(NHK出版、2010年12月)...

Appendix

プロフィール

大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。

最近の記事

月別アーカイブ

ブログ内検索