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読書記録(2011年2月分)

備忘のための読書記録、2011年2月分。学術論文は除く。発行年月日は初版のもの。島田裕巳『無宗教こそ日本人の宗教である』(角川書店、2009年1月) 「無宗教は自由を確保する。宗教についてのあらゆる可能性を排除しないことで、かえって宗教の持つ将来の可能性を確保しようとする。」(162ページ)。「無宗教」を肯定的に捉える思考過程に引き込まれる。奥健夫『日本の美術536 奈良の鎌倉時代彫刻』(ぎょうせい、2011年1月...

文化財をなぜ守るのか

 年度末に発行される某報告書に書いた原稿を、ちらっと先にださせてもらいます。文化財を守ることの意味を問いかける内容です。よろしければご一読ください。文化財をなぜ守るのか―新編道成寺縁起制作の意義―はじめに  和歌山県では、平成20年に5件だった文化財盗難が、平成21年に15件、平成22年には38件と急増している。これは警察へ被害届が提出されて発覚した件数であり、実際にはさらに多くの文化財盗難が発生していると考...

展覧会・文化財を見てきました(2011年2月12日、滝山寺)

トヨタ博物館・企画展 収蔵車&資料でたどる 自動車125年の歴史(1月25日?4月3日) 子どものたってのリクエストで、愛知県のトヨタ博物館へGO!。当初は前日に行く予定だったが、雪のため一日延期。ガソリン自動車誕生が1886年で、その最初の自動車、ベンツパテントモトーツヴァーゲンの展示と、その走行実験の映像に子とともに見入る。案外速い。バイクをもとに作ったフジキャビン、60年前の車だが、なんだが一周回って未来...

これからの琵琶湖文化館

滋賀県立琵琶湖文化館の休館問題について、これまでに次の記事で継続的に取り上げてきました。 琵琶湖文化館、頑張って(2008年1月5日) 琵琶湖文化館の展覧会企画力(2008年1月30日) 琵琶湖文化館休館決定(2008年3月3日) 「休憩」前の琵琶湖文化館(2008年3月10日) 琵琶湖文化館さらに受難(2009年10月11日) 琵琶湖文化館の今後(2010年1月20日) 九州国立博物館「湖の国の名宝―最澄がつないだ近江と太宰府―」(...

玉稿拝受(2011年2月7日)

「(前略)猿楽は方堅を根源的な芸能としてきた中で、遷宮儀礼の場において結界や地鎮に大きな役割を果たす「荒神」の信仰を取り込むようになり、さらには「芸祖」秦河勝や、方堅の影響下に成立した翁猿楽の翁にも荒神を結びつけるに至ったのではないだろうか。」(高橋2009、77ページ)高橋悠介「猿楽における荒神信仰―金春善竹『明宿集』を中心に―」(『国文学 解釈と鑑賞』平成21年10月号、2009年10月)ありがとうございました...

展覧会・文化財を見てきました(2011/2/3、東近美など)

2月3日国立公文書館・暮らしのうつりかわり―大正・昭和編―(11月1日?3月18日) 報告会のために訪れた東近美のオープンがゆっくりなので、隣の公文書館に随分久しぶりに訪問。大正時代から昭和30年代までの衣食住など日常生活に関わる公文書を展示。日本国憲法原本など。パネルで展示している資料のなかに、単にパネルのままでなく、原本の輪郭に沿ってきれいに切り取っている資料あり。雰囲気が実物っぽく見え、なるほど工夫...

展覧会・文化財を見てきました(2011年2月2日、運慶展)

2月2日秀吉清正記念館・特集展示 神になった秀吉・清正(2月1日?3月13日) 神格化された豊臣秀吉(豊国大明神)と加藤清正(日蓮宗寺院で勝負の神などとして信仰)について取り上げる。お目当ては同館所蔵の豊臣秀吉像。面貌は、神威を表現するための工夫として、翁面の表現を重ねていると思われる。猿楽好きの秀吉だからなのか、仏師側の工夫なのかは課題。面貌表現、着衣形式、着衣の文様、しわの形状、そしておそらく構造に...

玉稿拝受(2011年2月2日)

「平安時代、九世紀末から十世紀代の彫刻史は、造形の緊密性が解き放たれ、それが徐々に弛緩する傾向が底流にあり、その徴候をどのように見るかが大きな課題である。そのような傾向を大局的な展開の中に当て嵌めるのではなく、それ自身個別の問題として捉えるのが本稿の趣旨である。」(鈴木2010、30ページ)鈴木喜博「兵庫県所蔵の天部形立像とその像底墨画について」(『鹿園雑集』11、2010年3月)ありがとうございました。...

展覧会・文化財を見てきました。(2011年1月31日、長岳寺)

長岳寺 奈良で用事を一件済ませ、せっかくなので天理市へ足を向け、長岳寺訪問。先日高知・豊楽寺の仁平元年(1151)銘のある釈迦如来像を拝観したし、というのもあって、自分の原点でもある同年銘を持つ阿弥陀三尊像と相対する。最新の情報では、阿弥陀三尊と同じ堂内にあって、従来三輪より伝来したといわれてきた二天像(平安時代後期)の台座に、明治以前から長岳寺に伝来していたことを示す銘記があると判明。阿弥陀三尊像と...

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プロフィール

大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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