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玉稿拝受(「熊野の補陀落渡海」)

「補陀落渡海の行儀には、渡海船の構造や葬送習俗など、水葬儀礼が確実に息づいている。そこには、日本人の葬送民俗の深層と、死と再生という死生観の根源的な問題が沈殿しているように思う。 熊野の補陀落渡海は、濃厚な海上他界観を基層文化にした、生に裏打ちされた「南方往生」の企てであり、後には水葬と化す常世の郷愁をかりたてる深奥への魂の回帰であった。」(101ページ) 山本殖生「熊野の補陀落渡海―水葬儀礼に着目し...

展覧会・文化財を見てきました(奈良大学博物館、東大寺ミュージアム)

奈良大学博物館・企画展 文化財はいかに守られてきたか-保存修復 そして戦争・災害・開発・環境-(1月16日~5月19日) 文化財がいかに守られてきたかを、1、文化財の継承、2、文化財の被災、3、文化財を救い・まもり・伝えること、という3章に分けて、展示室外のケースやロビーも活用して紹介。展示の力点は2章にあり、災害、戦争、開発・環境、火災・その他に分けて資料を展示。「災害」では岩手県野田村図書館で津波...

玉稿拝受(「祈りのコスモロジー」)

「つまり、「聖なる山」は西欧のキリスト教をモデルとする宗教の概念で把握されており、日本語訳の「信仰の山」とはズレがあった。さらに言えば、「信仰」もまた個人を主体とする近代の文化と自然をわけ、自然を対象化する思考がある。西欧では、山を人間界から隔絶した場所として捉え、悪魔や魔物の住む所であり、近代アルピニズムの成立以前は、登山の慣行はなかった。ところが、日本には、山への登拝や交流の長い歴史があり、自...

玉稿拝受(木造天海坐像(所在護摩堂)の制作と安置場所について)

「いずれにしても本像は天海存命中に制作され、家康の御宮の別所に祀られるのにもっともふさわしく、造形のみならず、その伝来とともにその存在意義はとても重要な像といえよう。」(77頁)川瀬由照「木造天海坐像(所在護摩堂)の制作と安置場所について」(『日光山輪王寺』80、2011年11月)ありがとうございました。...

展覧会・文化財を見てきました(金沢文庫、パルテノン多摩、東博)

神奈川県立金沢文庫 興正菩薩叡尊鎌倉下向750年記念Ⅱ 仏像からのメッセージ 像内納入品の世界(12月9日~2月5日) 会期終了間際に滑り込む。仏像の像内に納める像内納入品を西大寺流律宗の関連作例を中心に多数集め、造像の精神的背景を探る。納入品の区分は、舎利・舎利容器、心月輪、五臓六腑、経典・真言・陀羅尼、仏像、願文・結縁交名、印仏・摺仏(及び紙背文書)に分ける。西大寺・大黒天立像は建治2年(1276)善春...

読書記録(2012年1月分)

読書記録、2012年1月分。論文は除く。発行年月日は初版のもの。内田樹『呪いの時代』(新潮社、2011年11月)「人はどれほどわかりにくいメッセージであっても、そこに自分に対する敬意が含まれているならば、最大限の注意をそこに向け、聴き取り、理解しようと努める。そういうものです。だから、もしあなたが呑み込むことのむずかしいメッセージを誰かに届けようと願うなら、深い敬意を込めてそれを発信しなさい。それがコミュニ...

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プロフィール

大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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