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展覧会・文化財を見てきました(2008年9月18日)

東京国立博物館
・特別展 スリランカ―輝く島の美に出会う―
(9月17日?11月30日)
 表慶館での展示。仏像が多く、また中国唐様式の源流を考える上で興味深い作例多し。装飾的な高髻や眼への水晶嵌入など、日本の鎌倉初期彫刻を考えながら見て回る。「宋風」は「唐風」ってことかなど、スリランカと全然違うことばかり考える。図録あり(256頁・2300円)。

・特集陳列 六波羅蜜寺の仏像
(7月10日?9月21日)
 六波羅蜜寺宝物館改修に際し、東博でのお披露目。運慶様式の地蔵菩薩坐像と、伝定朝作の地蔵菩薩立像、薬師如来坐像などを堪能。長快作の弘法大師坐像を見ていると、大師像の制作時期推定の困難さに挫けそうになる。運慶像と湛慶像は作風がやや違う。

・特集陳列 二体の大日如来像と運慶様の彫刻
(7月10日?9月21日)
 今年初めにはたいへんな騒ぎだったが、なにごともなかったように坐る真如苑の大日如来坐像。光得寺像と並んでそれぞれ独立ケースに展示され、側面も背面も比較しながら鑑賞。光得寺像により引き締まった印象があるのは小像ゆえ?

・特集陳列 那智山出土仏教遺物
(7月29日?11月16日)
 和歌山県那智勝浦町の那智山は日本最大の落差を誇る那智滝で有名。その滝への参道入口付近で、大正時代に発見された経塚遺物や仏像類の優品の大半は、東京国立博物館に所蔵される。以前一部を借用・展示したが、ずらりと並ぶ今回のような機会はとても貴重。勉強勉強。

・特集陳列 仮面
(9月17日?10月26日)
 館蔵、寄託の仮面で特集展示。和歌山県かつらぎ町の丹生都比売神社(天野社)伝来の行道面・舞楽面は、最近考える機会があったのでちょうど良い機会。兵庫県小野市の浄土寺行道面は、各面の違いを細かく捉えたキャプションがつく。乾漆の伎楽面・酔胡従は初見かも。根来寺の能面も久しぶり。その他、狂言面の狐は有名なお面で、見られてなんだかうれしい。
東博20080918

東京藝術大学大学美術館
・特別展 狩野芳崖 悲母観音への軌跡―東京藝術大学所蔵品を中心に―
(8月26日?9月23日)
 芳崖の〈悲母観音〉とその下絵を核に、生涯の事跡を追う。作品点数はおさえられているが、若いときのいかにも狩野派という絵から、西洋画への対抗で描かれて大変カラフルな〈仁王捉鬼図〉、大迫力の〈大鷲〉など代表作が押さえられている。〈悲母観音〉は、単眼鏡がないと楽しめないかも。図録あり(186頁・2000円)。
芸大美20080918

御霊神社(神奈川県鎌倉市坂ノ下)
・面掛行列(神奈川県指定文化財)
 今日のメインイベント!のはずであったが、雨天のため行列は中止。残念。せめてお面をそばでみたいと思い、お世話役の人に無理をいって、宝蔵に入らせてもらう。
 このお面は、1爺、2鬼、3異形、4鼻長、5烏天狗、6翁、7火吹男、8福禄、9阿亀、10女の十面からなり、江戸時代中期頃の製作で、それぞれ独特な形状をしている。従来伎楽面との関わりを言われるようだが、爺は武悪、鬼は飛出、鼻長は舞楽面、火吹男は鼻筋を歪ませた神事面ないし祖父というように、その原型は舞楽面・能面・狂言面にあるようだ。御霊神社の祭礼は鶴岡八幡宮の放生会を移植したもので、鶴岡八幡宮でも仮面行列があった。『鎌倉三五記』では面掛に陵王・小飛出・釣眼・大べし見・顰・福禄寿・末社(?)・ウソフキ・おふく・天女を用いたことが記される。これも舞楽面・能面・狂言面からなり、両者の親近性は高そうだ。和歌山の面掛行列は徳川頼宣によって創始されたものだから、あるいは東国の面掛との影響関係を見るべきかもしれない。御霊神社・面掛行列の動画はこちらから。
御霊神社20080918 御霊神社宝蔵

長谷寺
 帰りの新幹線まで、随分時間が余ってしまったので、せっかくなのですぐそばの長谷寺へ。巨大な長谷寺式十一面観音像を拝観。14世紀頃だろうか。宝物館で三十三応身も拝観。
長谷寺20080918

高徳院
 鎌倉大仏を十年ぶりぐらいで拝観。像内にも入って鋳からくりや首まわりの補修を確認。
鎌倉大仏20080918

鎌倉国宝館
・特別展 国宝鶴岡八幡宮古神宝
(9月4日?10月5日)
 国宝古神宝のほか、弁才天坐像など仏像、仏画も展示。舞楽面は陵王・散手・貴徳鯉口を展示。菩薩面も。浄光明寺の僧形八幡神と弘法大師のセットが興味深い。図録なし。
鎌倉国宝館20080918

鶴岡八幡宮宝物殿
 住吉神像をみる。ほかに仮面が4点、能面若女・小尉・べし見と舞楽面退走徳。舞楽面と能面って、ひょっとして面掛の仮面ではなかろうか?
鶴岡20080918

神奈川県立近代美術館 鎌倉
・岡村桂三郎展
(9月13日?11月24日)
 東北芸術工科大学教授岡村桂三郎の作品展。巨大な木製パネルが林立し、屏風の形態をとる。動物を幻想的にやや野趣を伴って描く。日本画ってなんだろう、どこにいくんだろうと思う。
神奈川近美20080918

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
・小宇宙への情熱 三浦康重版画コレクション展
(9月13日?12月14日)
 共通チケットだったことに気づいて、初めて別館を訪れる。展示は柄澤齊の細密な版画を中心に。作者の世界観と共感できれば楽しかろうとは思う。鎌倉駅まで歩いて、鳩サブレー買って、帰る。おつかれさまでした。

→【観仏三昧―仏像と文化財の情報ページ―】         
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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