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展覧会・文化財を見てきました(2008年10月27、28日)

【10月27日】
 朝5時30分に和歌山を発ち、一路出雲へ。山陰では高速道路の整備が進んでおり、10時30分には荒神谷に到着。

荒神谷博物館
・企画展 ふるさとの御仏―斐川・出雲を中心に―
(10月4日?11月24日)
 出雲地方の中心、斐川町と周辺の仏像9体を集める。松江市・仏谷寺の聖観音菩薩立像(重文)が圧倒的な存在感を見せる。厚みがあって重量感あふれる体躯、背をそらした抑揚ある姿勢、翻ってW字を描く天衣とリズムある衣紋線、連眉と突き出た上唇による異国的な風貌。9世紀彫刻の特徴を示す。成相寺の神像群は夫婦神と御子神に女神二体がつく。11世紀頃。ほか万福寺月光菩薩立像、持国天立像(ともに重文)も。図録はないが、A3二つ折りのリーフレットに全ての像の図版は掲載されている。
荒神谷博20081028

出雲文化伝承館
・企画展 日本女性の美の変遷―江戸三〇〇年 美人画とその時代
(10月18日?11月24日)
 肉筆浮世絵や化粧道具、飾りなどを展示。全国から集めている。常設展示では26体の神像群あり。日御碕神社末社や同社宮司家小野家の邸内社にあったもの。最も古く大きいのは10?11cの男神像。他もほとんど平安?鎌倉のもの。施設内の蕎麦屋で出雲蕎麦を食べる。
出雲文化伝承館20081028

島根県立古代出雲歴史博物館
・企画展 秘仏への旅―出雲・石見の観音巡礼―
(10月4日?11月30日)
 出雲・石見の観音霊場に伝えられてきた仏像・仏画を集める。鰐淵寺観音菩薩立像、清水寺十一面観音立像、禅定寺観音菩薩立像などなど、重文をはじめ、島根を代表する仏像や、新たに見いだされたものなど多数展示され、バラエティーに富む。浄音寺十一面観音立像(重文)は院豪による13世紀後半の像だが、平安前期彫刻が林立する中では少し影が薄い・・・。図録あり(262頁、2300円)。
・神々のイメージ
(9月17日?12月15日)
 常設展示の一角に、神像の特集展示。益田市・櫛代賀姫神社の僧形神像は、解説では室町時代(16世紀)とするが、12世紀でよいのでは。奥出雲町・伊賀多気神社随神像は12世紀、県指定。大田市・喜多八幡宮の神像には、「誠証殿」「薬師」「千手」の墨書があり、熊野の神を表している。室町末期ごろ。施設もとってもキレイ。
古代出雲文化博20081028

出雲大社
 博物館は出雲大社に隣接しているので、参拝。宝物館も見学。10年ぐらい前に来たときは、一体古い仏像があったはずだが、無くなっている・・・。境内絵図、刀などのほか、近代彫刻も。
出雲大社20081028

大山寺
 出雲から米子へとんぼ帰りして、大山寺へ。4時過ぎに到着したが、宝物館霊宝閣はちょうど閉めたところのようで残念。本堂参拝のあと、山の上で息が白くなるほど寒いが、せめて阿弥陀堂(重文)は見ようと、あたりも暗くなって不安ではあったが山登り。なんとか見つけてほっ。堂内には天承元年(1131)良円作の阿弥陀三尊像(重文)が安置される(事前予約しなければ拝観できないが)。山上の大神山神社奥宮も行き残したので、必ずや再訪したい。
大山寺20081028

【10月28日】
 7時30分にホテルをでて、一路鳥取へ。大山のふもとをぐるりと巡りながら、国道9号は続く。大山は、山頂に雲の帽子。
大山20081028
 この撮影ポイントの後ろを振り返ると・・・、
風車20081028
 巨大な、風力発電用の風車が林立。鳥取西部には、こういった風車が、本当にたくさん立っていた。広々とした風景の中に、驚くほど違和感なく溶け込んでいるのが不思議で、感動的。日本は広い。

鳥取県立博物館
・企画展 はじまりの物語―縁起絵巻に描かれた古のとっとり―
(10月4日?11月9日)
 鳥取県にゆかりの寺社の縁起・縁起絵巻にスポットをあてる。因幡国から飛来したと語られる京都・因幡堂の本尊薬師如来立像(重文)や、最澄が因幡国岩井温泉で造ったと語られる岐阜・延算寺の薬師如来立像(重文)、大山寺の観音菩薩立像や十一面観音立像、鉄製厨子(重文)のほか、豊乗寺の楊柳観音像(重文)など。人は過去と現在をつなぐために物語を作る。縁起のテクストは、その縁起が必要となった時代のコンテクストとともに読み解くことで、史料性を獲得できることを改めて考える。図録あり(192頁・850円)。常設展示で青龍寺の持国天・多聞天像(重文)、観音菩薩坐像(鎌倉時代)も展示。
鳥取県博20081028

兵庫県立歴史博物館
・特別展 ふるさとの神々―祝祭の空間と美の伝統―
(10月18日?12月7日)
 兵庫県の神道美術を一堂に集める。神像では、淡路市・伊弉諾神宮の新出女神像2躯が注目される。特に古い方の像は、ウロを持つクスノキを用材とし、重量感ありやや背を反らした体型、鎬立つ衣紋など、10世紀初め頃の作で、今後の神像研究の上で無視できない重要作例。もう一体は12世紀ごろ。淡路国一宮。豊岡市・気多神社は但馬国総社。本展の事前調査で見いだされた随神倚像はケヤキの一木からなる量感あふれる像。鎌倉時代。鳥飼八幡宮の新出の掛仏12面中、平安時代のものが4面含まれており、驚き。豊岡市・西光寺の春日曼荼羅図は、上部に春日社の景観、下部に興福寺の諸尊像が描かれる。市指定ながらほとんど知られていなかった一幅で、鎌倉時代にさかのぼる善本。姫路市・八正寺の鬼面2面は文保2年(1318)銘がある堅実な作風。神戸市・長田神社の黒漆塗金銅装神輿(重文)も展示。こういう機会は大変ありがたい。図録あり(144頁・2000円)。

 二日で走行距離1000キロ。たくさんの仏像・神像に出会えた充実の旅でした。

【観仏三昧―仏像と文化財の情報ページ―】

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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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