5月9日に、美術史学会主催によるシンポジウム「ミュージアムをどう評価するのか―学芸員の専門性と美術館・博物館の力―」が、東京都美術館を会場に開催されます。
昨年改正された博物館法では、
第9条1項
「博物館は、当該博物館の運営状況について評価を行うとともに、その結果に基づき博物館運営の改善を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」
第9条2項
「博物館は、当該博物館の事業に関する地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該博物館の運営の状況に関する情報を積極的に提供するよう努めなければならない。」
という条文が盛り込まれ、努力規定ながら、よりよい博物館活動を行うための評価及び情報の提供の必要性が強調されています。またあるいは、次の条文に(悪文ですが)、
第3条9項
「社会教育における学習の機会を利用して行った学習の成果を活用して行う教育活動その他の活動の機会を提供し、及びその提供を奨励すること。」
とあって、提供者?利用者という関係性に固定されがちなミュージアムのあり方の改善にも踏み込んでいます。
博物館・美術館をとりまく環境がどんどん変化していく中ですので、私も今回のシンポジウムに参加し、博物館人としての自らを相対化し、よりよい館運営・よりよい研究体制を造るための材料を得たいと思っています。非学会員でも参加OKとのことですので、情報をここに掲示いたします。
美術館博物館委員会東西合同シンポジウムのお知らせ日時: 2009年5月9日(土) 10:00?16:00 (9:40受付開始)
会場: 東京都美術館講堂(上野公園内)
主催: 美術史学会
後援: 全国美術館会議、文化資源学会
定員: 240名(非美術史学会員の参加も可、参加無料、事前申込不要、先着順)
シンポジウムタイトル: ミュージアムをどう評価するのか―学芸員の専門性と美術館・博物館の力―
趣旨: 美術史学会では2003年より毎年、東西合同シンポジウムを開催し、今日の美術館・博物館をめぐるさまざまな問題を論じてきました。今回は、本学会美術館博物館委員会の活動がそもそも学芸員の「科学研究費助成金申請」の問題からスタートしたことに立ち戻り、学芸員独自の専門性、およびそうした専門性に裏打ちされた実践活動に対する評価の問題をテーマにしたいと思います。関連して、2008年6月に行なわれた博物館法改正の努力項目として、美術館の「自己評価およびその公開性の促進」がうたわれたことをふまえ、経営的視点だけではない活動評価のあり方について議論を深められればと思います。
アクチュアルな問題としては、行政的な方面では、現在文部科学省で進められている学芸員資格取得要件の見直しがあり、このことは美術館のみならず学芸員養成カリキュラムをもつ大学にも大きな影響を与えると思われます。また、指定管理者制度が導入されて一定の期間を経たいま、この制度が学芸員のステイタスや美術館活動の評価にどのような影響を与えているのか、検証も必要です。これらの問題も、学芸員の専門性や雇用上のステイタスと密接な関連をもつ問題であり、今回のシンポジウムで話題としてとりあげる予定です。
プログラム:
(発表者のご所属は2009年3月現在のものです)
10:00 開会
*全体進行:平芳幸浩(美術館博物館委員・京都工芸繊維大学)
10:00-10:05 あいさつ:浅井和春(美術史学会代表委員・青山学院大学)
10:05-10:15 趣旨説明:越川倫明(美術館博物館委員・東京芸術大学)
第1部 学芸員をめぐる行政・評価の方向性
司会:内田啓一(美術館博物館委員・昭和女子大学)
10:15?11:15 栗原祐司(文部科学省生涯学習政策局社会教育課企画官)
「大学における学芸員養成の充実と博物館評価について」
11:15?11:45 神林恒道(立命館大学)
「美術館外部評価検討委員会に参加して」
11:45?12:00 質疑応答
第2部 学芸員の専門性―現場からの問題提起
司会:橋爪節也(美術館博物館委員・大阪大学)
13:00?13:30 平井章一(国立新美術館)
「欲しい学術的評価と顕彰の場―展覧会企画と研究」
13:30?13:45 稲庭彩和子(美術館博物館委員・神奈川県立近代美術館)
「公立美術館における科学研究費の取得」
13:45?14:00 石川知彦(大阪市立美術館)
「科研費をもらえない大阪市立美術館」
14:00?14:30 雪山行二(横浜美術館)
「指定管理者制度のいま―横浜美術館が抱える諸問題」
14:30?14:45 質疑応答
15:00?16:00 全体討論
司会:越川倫明
/指名コメント:高晟(美術館博物館委員・新潟県立万代島美術館)
16:00 閉会
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