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展覧会・文化財を見てきました(2009年5月9日)

東京都美術館
日本の美術館名品展
(4月25日?7月5日)
 東京都美術館を会場に開催された美術史学会のシンポジウムの合間に、上野の森をめぐる。9時開館と同時に入場して鑑賞。公立美術館のネットワーク組織、美術館連絡協議会創立25周年記念の展示で、全国100館から洋画、日本近代洋画、近代日本画を軸に、各館の目玉作品ばかりを集約する。ほぼ全ての作品に、各館のコメントと解説がついており、鑑賞の便が図られる。結果的に、各館におけるその作品の歴史的位置を示す解説となっており、作品の価値の重層性を意識させ、好ましい。図録あり(312頁・2500円)。

東京藝術大学大学美術館
特別展 尼門跡寺院の世界―皇女たちの信仰と御所文化
(4月14日?6月14日)
 シンポの昼休みに、芸大にダッシュ。京都・奈良の13ヶ寺の尼門跡から資料を集めて展観。仏像では、中宮寺の紙製文殊菩薩立像(鎌倉時代、重文)。大聖寺涅槃図など、尼僧の手による仏画の本格的な作風に驚く。各寺の尼僧の肖像画がずらりと並ぶコーナーは圧巻だが、各幅の前に茶碗に造花を入れて飾るディスプレイはやや蛇足か。霊鑑寺上段の間障壁画を印刷で再現した展示、印刷の細部を見ようと覗き込んで柱に手を当てたとたん係員に注意される。いろいろ納得できないが、ぐっとこらえる。図録あり(384頁、2500円)。

東京国立博物館
興福寺創建1300年記念 国宝 阿修羅展
(3月31日?6月7日)
 シンポ終了後、夜間開館の東博へ。創建1300年、中金堂再建にあたっての出開帳。善男善女が我も我もと結縁に駆けつけて、大層な人出。きっと記録的な入館者数になるのでしょう。阿修羅立像(国宝、奈良時代)がぐるりと見られることをはじめ、八部衆、十大弟子も側面が確認でき有意義。自分の研究テーマに関わるので、中金堂四天王像をじっくり鑑賞。4躯の中では、広目天立像の力感、躍動感、安定感、彫刻空間の大きさが抜群にうまい。康慶工房の構成員の中で考えれば運慶かもと妄想。ブログだからって適当なこと書いてちゃいけませんけど。工房論をしっかり理論武装して組み立てなければと思う(が、やるひまがない)。図録あり(304頁、2500円)。

特集陳列 平成21年新指定国宝・重要文化財
(4月28日?5月10日)
 恒例新指定文化財のお披露目。彫刻では、昨年いろんな意味で注目された真如苑の大日如来坐像、佛教大学宗教文化ミュージアムの調査で発見されたばかりの清凉寺毘沙門天坐像、奈良博の展示で像内納入品が確認された円教寺性空坐像など近年の調査研究活動が反映されたものや、新潟・関山神社の銅造菩薩立像のように古くから知られていたものの再評価、そしてなにより、輪王寺の木造天海坐像(康音作)、銅造釈迦如来坐像(康知作)という江戸時代彫刻や、東博所蔵の金剛宗家伝来能面の指定は、これまで美術史の中でスポットをあびにくく評価が進んでいない分野を果敢に指定するもので、今後の方向性を明確に示したと思う。

特別展 Story of …―カルティエ クリエイション?めぐり逢う美の記憶―
(3月28日?5月31日)
 日仏交流150周年を記念した展示。「まるでダイヤのように輝く」というよく聞くフレーズが、嘘偽りのない事実であることを知る。まぶしくって目が痛い。私には宝石は猫に小判なので、内部に画像が浮かび上がる特殊な展示ケースや、一室を真っ白に塗った展示室など、従来の東博にはない展示空間造りに注目。若い女性が多く、ため息と歓声がうずまき、いい匂いもうずまく。悔しいので法隆寺宝物館に行って「珠玉の」名宝にため息・歓声を上げる(心の中で)。こちらは暗くって目が痛い。行く順番を間違えたようです。

観仏三昧 仏像と文化財の情報ページ
-全国の展覧会や仏像の公開情報が満載!-




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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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