3月3日、10時から始まった滋賀県議会2月定例会第4日目一般質問で、柴田智恵美議員より琵琶湖文化館について質問。以下質疑応答を私のメモから抜粋して箇条書きにします(あくまでメモですので正式な内容は議会議事録に拠って下さい。また後日録画したものが議会ウェブサイトにアップされるでしょう)。
柴田議員より知事への質問1、琵琶湖文化館は県条例では知事の所管施設で、教育委員会に付託。教育委員会の予算を削減したのが入館者減につながったのでは。
2、琵琶湖文化館は民衆により守られてきた文化財を多数収蔵している。学芸員の実績も評価されている。閲覧機能はどうなるのか。建物はバリアフリーではないが構造は強固。知事のいう「もったいない」に反するのではないか。
柴田議員より教育長への質問1、琵琶湖文化館は文化庁より勧告出品館、公開承認施設と指定されている施設。休館により寄託資料の返還の現実化、保存環境の悪化、資料の県外他館への管理替えが起こる。休館中の資料の取り扱いはどうなるのか、再開ビジョンを示せ。
2、琵琶湖文化館の学芸員のレベルは全国レベルだ。それは琵琶湖文化館の収蔵品や全県規模の調査研究により築かれたものだ。休館によって学芸員のノウハウが失われ、研究のレベルは低下するのではないか。これをどう維持するのか。
知事の回答質問1への回答。
県民や日本史研究会など団体から存続の要請が多数あり、友の会シンポジウムも開かれた。休館の判断は、公の施設の見直しの中で廃止も含めた根本的なあり方を調査研究してきたもの。財政構造改革の中、当分の間休館とする。施設の老朽化、利用者減少という状況があり、来館者の安全のために休館するもの。今後は文化財の適正な管理の上、県民への公開の確保のため他の博物館での公開。次世代への適正な方策について教育委員会に指示している。
質問2への回答
文化財は滋賀の宝。失ってはいけない。それらは地域の人々がくらしの中で守ってきた。強い誇りを感じる。調査研究機能は継続する。学芸員の知識・技能は必要だ。ただ、バリアフリー、空調設備改修の必要がある。当分の間休館する。
教育長の回答質問1への回答
琵琶湖文化館には5000点の資料、3600点の寄託品があり、文化庁の環境基準を満たす良好な収蔵庫がある。今後は安土城考古博物館等で収蔵品展を行う。所有者にはそのことを説明し、寄託の継続をお願いしたい。再開時期については、財政状況など様々な課題があるからそれを決定するのは困難だ。
質問2への回答
学芸員のレベル維持については、公開展示は継続するという判断である。
柴田議員の知事への再質問 財政が厳しいと行っても、我々には文化財を守り引き継ぐ責任がある。京都や奈良の国立博物館長ほかからも存続が訴えられているが(本当に休館でいいのか)。
知事の再回答 琵琶湖文化館は昭和36年の開館以来、600万人の来館者を迎えた。休館の判断は大変苦しいところだが、施設の維持管理に費用がかかる。日本史研究会、大阪歴史研究会、・・会、・・会、美術史学会などからの存続の要望を重く受け止めながら、議会のみなさまとともに、これから方向を探したいと考えているので、ご理解頂きたい。
琵琶湖文化館の休館は決定しました。柴田議員の質問は的確でだれかブレーンがあったのでしょう。文化館を休館するなという質問には実質的にゼロ回答ですが、展示機能を放棄しないこと、学芸員を確保することは示されました。ただし休館期間は未定。公開施設を自前でもたない博物館という位置づけになりますので、今後他館での展示活動を行う不安定な組織となります。当面、同じ指定管理者が入る滋賀県立安土城考古博物館が展示会場となるようですが、これでは安土城考古博物館の年間計画にも玉突きで混乱を引き起こすでしょう。
だいたいこの計画では文化館収蔵庫から安土に頻繁に資料を輸送することになりますが、資料を安全に輸送する輸送費用は高額になります(展覧会経費の5割ほどは輸送費です)。なぜなら輸送中がもっとも破損の可能性があるからです。資料の移動はできるだけ少ないことが、リスクマネージメントの基本です。そのお金があれば館の改修費に少しでもまわせるはず。結局予算規模はあまり変わらないはずで、もし大幅に減額するのなら、いつか事故が起こるのではないかと危惧します。
「危ないから休館」と判断した以上、同じ施設でそのまま再開されることは100%ありません。新施設を建てることも100%ないでしょう。方向性でいえば、エレベータを設置して3階4階5階を閉鎖して再開とか、他の県立館(安土城考古博物館、近代美術館)に収蔵庫のみ新設し吸収合併するなどでしょうが、知事も教育長もこれから考えるというばかり。未来への希望は示されませんでした。
次のお休みの日に、琵琶湖文化館最後の展示を見に行くことにします。
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>展示機能を放棄しないこと、学芸員を確保することは示されました
これだけが救いでありますが、先行きが心配であることに変わりありません。