九州国立博物館九州国立博物館開館4周年記念特別展 古代九州の国宝
(10月20日?11月29日)
古代九州を考古学的成果から考える資料構成。経塚出土資料と石人・石馬をしっかりみておく。子ども向けの「考古学」を楽しむための補助パネルがたくさん設けられ、親切。興業上の理由でタイトルが「国宝」に変わったようだが、当初提示してあった仮題「九州王国の伝説―古代九州の力―」の方が展示内容と一致していてよかったのではないか。真面目な展示作りをしているのに、展示の実態とはやや違和感のある「国宝」を前面に出してしまっては、展覧会を開催する本来の意図をぼかしかねない。図録あり(1000円)。
トピック展示 新収品’05 -’08 交流する文化のかたち
(9月30日?11月8日)
九博の新収蔵資料のお披露目。今年新たに重文指定された菊蒔絵手箱(南北朝?室町時代)は、形状、技法、素材など、熊野速玉大社の国宝・古神宝中の手箱とそっくり。ただし寸法は若干小さく、蒔絵の文様がややおおらかで、環座の金具も同様なので、制作時期は少し古いかも。同じ工房の作ともいえるかもしれない。漆工史上に貴重な新資料といえる。その他一遍上人像(南北朝時代)や仮面などもあり。仮面の名称付けに少し違和感あるが、旧所蔵者のものをひきついだのかも。リーフレットあり(18頁・無料)。
八代市立博物館未来の森ミュージアム特別展覧会 みほとけの貌―熊本県南部の仏像―
(10月16日?11月23日)
熊本県南部(八代市・人吉市・宇城市・宇土市・天草市・球磨郡・下益城郡・葦北郡)に伝えられた平安?室町時代の仏像を集成。願成寺阿弥陀如来坐像(重文)は定朝様をベースに、意志的な表情と細かく乱れる衣紋を配した新時代の表現様式を含む堅実な作例。奈良仏師か。中山観音堂の聖観音菩薩像は等身大の平安時代前期彫刻。背をそらした姿勢、裾をたくし上げた軽快な正面観など古様を見せ、制作は9世紀にさかのぼる。北部九州に類例のある作例を考える上での新資料。寿勝寺薬師如来坐像は室町期の修理部分もあり、また破損もあるが、猫背になる側面観、内衣をのぞかせる着衣形式など、13世紀半ばごろの慶派による如来坐像の新出作例。ほか、像高237.2センチの勝福寺毘沙門堂・毘沙門天立像(久寿3年<1156>や釈迦院山王神坐像(仁治3年<1242>、長実作)などなど、在銘彫刻も多数。熊本県(南部)の仏像を一望できる千載一遇の機会で、必見。図録あり(1700円、144頁)。
鑑賞後、展示ご担当者とともに九州と関西の研究者の面々と痛飲。馬刺し・辛子れんこん・一文字ぐるぐるに天草のお魚と焼酎。二件目でふぐ汁。全員二日酔いで撃沈も当方のみ回復早し。黒丸(二日酔いの薬)はよく効く。熊本は美味しい。

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