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展覧会・文化財を見てきました(2009年12月18日・19日)

12月18日
 雪が舞う中、早朝和歌山を出立、7時30分ごろ奈良の家に到着。もう一度いる物を仕分けているうちに業者さんが到着。現場での車の出入りなどでまわりに迷惑がかからないよう配慮して、作業開始。荷物がどんどん搬出され、トラックに放り込まれていく。使えそうなものはより分けられバンに乗せられていく。作業の邪魔をしてもいけないので、車中で読書にいそしみ、昼食がてら途中で橿考研へぶらりと向かう。

奈良県立橿原文化財研究所附属博物館
・平常遷都1300年祭記念連続ミニ展示 第3回 瓦と鴟尾
(12月5日?12月20日)
 天神山瓦窯出土の大型鴟尾を露出展示。ほか鴟尾を多数。マジメに展示を作ってあるのに会期が極端に短いのはもったいない。
・特別陳列 寅・トラ・虎の巻?十二支の考古学 寅?
(12月12日?1月17日)
 タイトルは「十二支の考古学」だが、展示は虎の文化史を提示する意図のよう。それはそれでよいが、展示のストーリーを示す資料の多数が、絵画資料などを複写したパネル展示では、橿考研の強み・考古学の強みを生かせていないし、タイトルともやや齟齬があり残念。天理市・黒塚古墳出土の三角縁神人龍虎画像鏡の神像の細部を確認。リーフレットあり(無料、4頁)。ロビーでは黒川古文化研究所の銅鐸のX線撮影による調査結果を展示。最近の橿考研の常設展以外での積極的な展示公開の動きは、情報を共有化することと、施設が有効活用されていることへのアピールという点で、その目的・方向性がよくうかがえる。

12月19日
 やはり早朝から荷物の処分作業に立ち会うも、昨日のことを考えればずっと現場にいてもしょうがないと悟って、現場監督の社長さんに作業の流れを確認し終わるころに顔をだすことにする。急遽5時間のフリータイム!なにしよう!

浄瑠璃寺
 で、どこにいこうかと考えて、朝のニュースで紹介されていた浄瑠璃寺三重塔の本尊薬師如来坐像(重文)を見ることにする。先般、アライグマによって引っかかれ、傷を修理したのち本堂に厨子が置かれたようで、19日・20日の両日、特別に御開帳とのこと。明日香村から1時間、久しぶりの浄瑠璃寺に到着、像自体は暗くて細部までの鑑賞は無理も、雰囲気だけでもつかむ。安置場所を確保するため四天王像(重文)が横向きに2体向かい合って置かれていて、思いがけずそのたっぷりとした側面観を確認できてよかった。九体阿弥陀もしっかり拝観。
浄瑠璃寺20091219
岩船寺
 浄瑠璃寺まで来たら、やはり岩船寺にも立ち寄っておく。天慶9年(946)造像の本尊阿弥陀如来坐像(重文)、普賢菩薩騎象像(重文)など拝観。本尊像脇のガラス棚に収めてあった鬼面は室町時代の作。素朴な中にも造形の自由さがあって佳品。大和古寺大観には未掲載のはず。

奈良国立博物館
・特別陳列 平城遷都1300年記念 おん祭と春日信仰の美術
(12月8日?1月17日)
 おん祭の時期に合わせた、奈良博恒例の春日信仰展。今回は春日権現験記絵の模本が春日本、東博本、陽明文庫本が集められ、原本(宮内庁三の丸尚蔵館本)の筆者高階隆兼に注目して藤田美術館の春日明神影向図(重文)や和泉市久保惣記念美術館の駒競行幸絵巻(重文)も展示(各12/20まで)。春日権現験記披見台は、描かれた文様を見やすくした(可視光による蛍光撮影で金銀泥の部分が黒く映るもの)パネルが併置され内容の理解が進む。春日山・御蓋山はこれで見ないと気づかないぐらい。未指定なのが不思議。図録あり(80頁・1500円)。

・特集展示 南北朝・室町時代の彫刻
(12月1日?2月14日)
 近年南北朝・室町時代の仏像が寄贈されたことを契機に、館蔵・寄託資料のうちから、当該時期の彫刻資料を展観。椿井仏師次郎作の観音寺役行者・前鬼・後鬼像や宿院仏師源次作の妙楽寺如来形坐像、宿院仏師源三郎作の池田町公民館薬師如来坐像など、室町時代の代表的な作例とまでは言えないかもしれないが、俗人仏師というこの時期の造像者の社会的立場を考える上で示唆に富む。
 美術史は、かたちの意味を歴史の文脈の中でたどり、それに関わった人々の存在を史上に浮かび上がらせる学問であると思う。アカデミックの世界で評価されにくく、従来は展示対象として選択的に除外されてきた資料を享受できることは、博物館のあり方として健全だと思う。固定的な「美しさ」「すばらしさ」観念の押しつけには抗うべきだし、ミュージアムは「価値の固定と再生産」の対極にあらねばならない。
 そういった意味で、いまだ一般的な「鎌倉以後は仏像の衰退期」という言説もやはり固定的な視線であり、この視線が再生産され続ける研究史上の構造を分析する学史的なアプローチが必要なのだろうとも思う。自ら(の研究領域)を相対化する視点を持たねばならない。1967年に奈良国立博物館で開催された『室町時代仏像展―在銘作品による―』は、あるいはこの問題意識の萌芽であったのかと、ふと思う。

 予定の時間に家に戻ると、既に作業は終了し、業者さんの姿もなし・・。がらんとした家を点検、施錠して、一路和歌山へ帰る。

観仏三昧 仏像と文化財の情報ページ
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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