特別展「移動する仏像」の準備の終わりが見えず、週休日とはいえ休んでいる状況ではないものの、諸事情で奈良へ。午前中、紀の川市中津川行者堂の護摩供(
昨年のようす)の見学も予定していたが取りやめ。うっかり先方に連絡しなかったため、護摩供の世話役の人から心配して電話を頂いている始末。いくらばたばたしているとはいえ配慮が足りなくなるようではいけないと、猛省。せっかくなので奈良博見学。
奈良国立博物館・特別展 平城遷都1300年記念 大遣唐使展
(4月3日?6月20日)
遣唐使をテーマとする初めての展覧会。遣唐使の時代的背景とともに歴史的なトピックスを多く設定し、遣唐使による将来品を多数集めながら、文化の伝播と移植、そしてその日本的展開にまで射程を納める意欲的な内容。なんといっても、普段見たくても見られない資料が見られることは展覧会の喜びである。ペンシルバニア大学博物館の菩薩立像と薬師寺聖観音菩薩立像の並ぶ空間は、とても贅沢。並べてはじめて分かるその共通点と相違点を、だれもが共有できることの尊さはなにごとにも代え難い。フィラデルフィア美術館の菩薩半跏像の優れた造形に立ちすくむ(実際にはぐるぐる見てましたが)。写真図版では見慣れたその印象よりも、実物はもっとシャープで、もっと立体的で、もっと魅力的であることを知ることができた。ペンシルバニア大学とかフィラデルフィア美術館とか、ひょっとすると生涯訪れることがないだけに、「今日見られた」ことを素直に喜びたい。ボストン美術館の吉備大臣入唐絵巻も同様。新出の安祥寺十一面観音立像は本館に展示され、榧材による造像であることの彫刻史的意義を強く打ち出されている。西新館の耐震補強工事のため本館も特別展会場となっていて、新鮮な感覚で鑑賞。ただ、展示スペースや導線などで苦労の跡がそこかしこに。これから来館者が増えると、ちょっと大変かも。図録あり(392ページ、2500円)。
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和歌山県立博物館
特別展 移動する仏像 ―有田川町の重要文化財を中心に― 2010年4月24日?6月6日
【移動する仏像展日誌】
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