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展覧会・文化財を見てきました(2010年6月12日)

吹田市立博物館
・実験展示 さわる 五感の挑戦 PART5
(6月12日?7月4日)
 「見る」だけでない、博物館の楽しみ方の可能性を提示。見て、触って、鳴らして聞き、匂いをかぐなど、五感で資料を感じるという試み。太鼓や笛、琴、琵琶、世界の民族楽器などの楽器類、仏像のレプリカ、民族衣装、郷土玩具、仮面など。初日の午後で、まだ琴や三味線を鳴らす準備が整っていなかったようで少し残念。きっと館長が手伝わなかったので間に合わなかったに違いない(^^)→ブログ「千里ニュータウン+万博×小山修三=吹田市立博物館!」6/11記事参照。
 このような展示の試みを行って下さることで、「博物館資料を触るということ」についていろいろと考える足がかりも得られる。私見としては、道具を道具としての文脈の中で触れてみることで、資料を「見る」「読む」ことで得られる情報と、使用経験とが合わさって、より深い理解を得られるはず、と考える。例えば第一次調査者としての学芸員(研究者)は、資料の重さや、質感や、匂いをも、情報として獲得している。ただそれらの情報は、資料の保存という問題から、フリーに触れて獲得してもらうことには、やはり躊躇をおぼえる。ここに、博物館で資料に触ることへの、「バリアー」がある。しかしその問題は、まさしく資料を守るためのバリアーであるだけに、開放すればよいというレベルで、単純に解決を図れない。
 本展における試みが示すように、触れることは楽しい。それでも、触れることの目的を「楽しさ」においては、博物館の主たる役割である資料保存との整合がつかない。それゆえに博物館における触ることのできる展示は、「触ることでしか得られない情報がある」という方向づけを明確にする必要があるのではないか。視覚障害者に対する博物館・美術館のバリアフリーも、こうした問題意識の中で改善を図れるのではないだろうか。触って楽しむのではなく、触って知るということである。そしてその知こそが「楽しさ」の源泉である。
 問題意識を持つことで、展示はさまざまな表情を示してくれる。それは時に展示者の意図をも超える。知ることで世界は広がり、モノの見え方や、自らの立ち位置も変わる。自ら企画した展示を顧みて、無自覚の中で思考を限定するようなバリアーを張って、さまざまな知の世界への広がりを妨げてはいなかっただろうか。ミュージアムの可能性を、ミュージアム自身が見失っているように見える昨今、無意識・無自覚のバリアーがあるのではないかとの思いで、もう一度足下を見つめてみたい。

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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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