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日本宗教文化史学会大会

 雨の中車を走らせ京都へ。第二京阪道、阪神高速8号京都線が開通したのでとても便利。京大会館で開催された日本宗教文化史学会第14回大会に、午後から参加。
 皿井舞氏「神護寺薬師如来像の再検討」、山下立氏「神像彫刻における男神像とその忿怒表現をめぐって」の2本の研究発表と、阿部泰郎氏による基調講演「聖徳太子の世界像―太子をめぐる中世宗教テクスト体系の生成―」を拝聴。
 皿井報告は神護寺薬師像について、「穢」の用語への慎重な対応の必要性を提起し、基本資料の再検討の上で高雄山寺旧像説を退け、神願寺旧像であることを導く。かつ従来とられてきた怨霊調伏・呪詛への対抗といったやや観念的な造像背景も、冷静に史料に立ち戻って八幡神の神威増幅のためであることを確認し、初期の神仏習合の場の本尊として神護寺薬師像を位置付ける視点を提示された。
 山下報告は男神像の忿怒表現の出現背景を検討。中国の神や皇帝陵神道石刻と日本の神・神像を比較し、その源流としての中国を見据えながら、日本の神における祟という要素に注目しその観念が反映されていること、そして仏教の護法善神にみられる忿怒の要素を背景にした複合的所産であることを提示された。
 講演会は聖徳太子をめぐる諸テクストの創出・位相の形成・複合的な展開を、聖典・伝記・絵伝・尊像の膨大な資料群から立ち上がらせ、時間・空間の双方向へ広がる「テクスト体系」を可視化させる壮大(かつ精密)な内容。この大会講演のための専用抜き刷り集まで作成されるほどで、よく2時間で終わったなあと思うほどの密度の濃さ。
 和気藹々とした懇親会にも参加し、たくさんの方々から大きな刺激を得る。最近講演会はしょっちゅうしているけれど、研究者の前できちんと研究発表をしていないことに忸怩たる思いもあったので、きちんと自分にネジをまかねばならぬと思いを新たにする。

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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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