観仏三昧的生活のこぼれ話とミュージアムや文化財に関するトピックス。
児島大輔「金剛智の袈裟―正倉院宝物に関する覚書―」(『奈良美術研究』8、2009年3月)「金剛智がまとう褐色の袈裟。このイメージの伝統は決して滔々と流れ続けるものではなかった。少なくとも中世にはほとんど忘れ去られていたといっても過言ではない。いま「金剛智の袈裟」と聞いてどれほどの人が褐色の袈裟を思い浮かべるだろうか。達磨とその袈裟のイメージの固着性との隔たりは大きい。」(児島2009、70頁)
竹下繭子「鑑真和上像の服制と道宣の着衣論」(『仏教芸術』310、2010年5月)「鑑真像の肩にかかる衣が、これまで言われてきた「横帔」ではなく、「坐具」であることを述べた。(中略)鑑真像の着衣は南山律の服制を表しており、その学系における解釈と継承という実態を知る上で重要な手がかりとなる。そこには道宣の思想の一端が垣間見えるのである。」(竹下2010、29頁)
Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。
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