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展覧会・文化財を見てきました(2010年10月30日)

滋賀県立近代美術館
・生誕100年特別展 白洲正子―神と仏、自然への祈り―
(10月19日?11月21日)
 白洲正子が巡り、著書で取り上げた作品を、その文章とともに並べる。お目当ては、伊賀の観菩提寺本尊十一面観音立像(重文)。六臂の姿。側面も鑑賞でき、体部は9世紀彫刻としてのオーソドックスな造形の範疇にあることを確認。それに対する頭部の威相を歴史的文脈に位置づけるためには、「森厳」「神秘的」といった印象論ではない威相の系譜の理論的な解釈が必要であることを改めて感じる。「神らしさ」はどこに現れるかが、思考の鍵か。ほか、金勝寺軍荼利明王立像(重文)、大蔵寺毘沙門天立像・地蔵菩薩立像(各重文)、岐阜日吉神社十一面観音坐像(重文)、天河神社の仮面などなど、多数の仏像・神像が並ぶ今年一番の仏教美術展でないかと思う。特殊な作りの図録あり(2500円)。

京都国立博物館
・特別展覧会 高僧と袈裟―ころもを伝え こころを繋ぐ―
(10月9日?11月23日)
 高僧が身につけ、重宝として伝領されてきた袈裟を多数集める。染織技法史展かと思えばさにあらず、伝法衣の文化史展として、無形の「心」をも展示している。傷みきった袈裟を開くのは、パンドラの箱を開けたようなもので、会期後も相当ご苦労があるだろうと思うが、それゆえに京博でしかなしえなかった展示。来館者は少ないようだが、京博の存在価値を自ら高める「奇跡の」展示であり、そうした歴史的な場にはぜひ立ち会ってほしい。図録あり(304ページ、2500円)。
 以下は愚痴。子連れで行くと、各室で注意されいたたまれなかった。自分では大きな声は出していないつもりだったが、子への説明を騒音扱いされると、どうすればよいのかと悩む。「うるさい」というご意見を強くおっしゃるお客様への、自己防衛なのだろうとは思う。でも、せっかく古い袈裟が今日まで残されてきた理由を、子に伝えるよい機会だったのに、心が折れてしまって、妻に託して子を先に退館させた自分が一番情けない。

観仏三昧 仏像と文化財の情報ページ
-全国の展覧会や仏像の公開情報が満載!-

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[C160] 公的空間での会話(音の大小?)

お初に送らせていただきます
いくつかの記事の拝見にとどまる身ですが
高野山霊宝館行きのきっかけとなる等 お世話になっております

当方は博物館や美術館での他の人々の会話に
神経質なくらい反応してしまう口ですが(よく怒ってしまう)
同じ会話でも余り気にならず むしろ「あ これならね・・・」というものがあります

①囁くように語りかける:数年前 東京の大倉集古館で お子さんにお母さんが語りかけていた
(香の道具だかの展示) 囁くようにしていたので 気遣いも伝わった いい親御さんだと思いました
(同様の事例は 男女の二人連れでも1例のみあり)
②声の調子を落とす:気に障るのは 声が高いとか 声の大きい人々(二人以上で立派な暴力)
それさえなければ 過敏にならなくても済むのであって・・・ところが わかっていないというか

京都国立は一時期 めちゃくちゃにうるさくなり
公式サイトで公開警告(?)まで打たれたほど
もっとも「先生(師匠?)」に率いられた一団の騒音はその前からあった

いわば とばっちりを食らってしまわれたと 思量いたします 心中お察しいたします
どうか お子さんには いろいろ いいものをみせてあげてください (しかるべき解説も含めて)

長文にて恐縮ですが お送りしたかった次第です
それではご自愛ご健筆を
  • 2010-11-10 13:32
  • TADDY K.
  • URL
  • 編集

[C161]

TADDY K. 様

コメントありがとうございました。
めげずに、子どもといっしょにミュージアムを楽しみたいと思います。

 ミュージアムでの正しいふるまいがなにかについては、けっして一様ではないと思ってています。内面との対話が最重要であれば静寂空間が貴ばれますし、ディスカッションによる多様な意見への接触こそが重要な施設もあります。
 京博は、ウェブサイトで「他のお客様の迷惑にならないよう静かにご鑑賞ください。 鑑賞マナーの中で、皆さまが常識として一番ご存じの事柄のようで、実は一番ご不満の多いのがこのことです。気になる文化財を眼の前にして感想を漏らしてしまうお気持ちは理解できますが、展示室内では、他のお客様の観覧の妨げにならないように小声でお話しください。」と表明していますね。いろいろ考えさせられるところの多い文章ですが、ぐっと飲み込んでおこうと思います。
  • 2010-11-12 07:22
  • 大河内
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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