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展覧会・文化財を見てきました(2010年11月21日)

鎌倉国宝館
・特別展 薬師如来と十二神将―いやしのみほとけたち―
(10月16日?11月23日)
 旧辻薬師堂諸尊像修理完成記念とのことで、国宝館に移管され順次修理を施された像のお披露目と、神奈川県内に所在する重要な十二神将像をずらりと集める。旧辻薬師堂の十二神将をぐるりと眺めると、巳神像がもっとも造形として充実している。なるほど、図録の表紙もこの像である。宝城坊の、近時確認された平安時代後期の十二神将像は、定智本の図像に基づく極めて貴重な作例。ずらりと全部見られるありがたさに、心躍る。全部で八十数体であろうか、その作業の大変さを思うと頭が下がる。図録あり(122ページ、1200円)。図録中に、国宝館像と同じ図像の十二神将像を7例、図版で比較できる表が掲載。重要な研究資料ともなるものである。

町田市立国際版画美術館
・特別展 救いのほとけ?観音と地蔵の美術?
(10月9日?11月23日)
 館として継続的にフォーカスしている、印仏・摺仏の意義を再検討するにあたり、観音・地蔵という幅広く信仰された救済者にスポットをあてて資料を収集。滋賀県・福寿寺千手観音立像と納入品、和歌山県・広利寺十一面観音立像と納入品、歴博地蔵菩薩立像と納入品が並ぶ最初の部屋に、その意図が集約されている。展示では、『地蔵菩薩応現記』第6話にある、造った仏像の像内に印仏を納めると像が光明を放った説話を例示し、印仏の積極的評価を試みている。ほか仏像では、よみうりランドの聖観音立像に目を奪われる。9世紀とされる作例であるが、あるいは8世紀の可能性もと感じるほど、奈良時代風が濃厚に残る。図録あり(200ページ、2500円)。

国立能楽堂資料展示室
・特別展 能面に見る女性表現―女面の成立と変遷―
(10月6日?11月21日)
 紀年名を有する重要な女面を事細かに収集し、一堂に展示。前期後期で大幅に展示替えしたので全ては見られなかったが、展示替えした仮面パネルあり。女面の形式が次第に決定していく過程を、実物を通じて比較判断できる貴重な展示。そうした意義は図録でも強調され、展示仮面を年代順に並べて一望できる能面年表は画期的。美術史における能面の研究は、やる人も少なくあまり進展していない。複雑にからまる伝承やあやふやな極め、本面・写しの複雑さと所蔵者の壁、研究へのとっかかりをたぐろうとすると挫折しそうになるが、しかし本展で提示されたシンプルなまでに様式論で能面の編年の網を緻密にしようとする姿勢に学びたい。図録あり(84ページ、2500円)。

観仏三昧 仏像と文化財の情報ページ
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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