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展覧会・文化財を見てきました(2011年1月28、29日、高知県)

1月28日
徳島市立徳島城博物館
・企画展 館蔵浮世絵展
(12月4日?1月30日)
 近年に、3人の方からそれぞれ寄贈された浮世絵を活用して展示。浮世絵の基礎知識やジャンルなど紹介。コレクション形成の背景に、阿波の人形浄瑠璃や義太夫文化があるとのこと。伝来史が資料をさらに豊かに彩っている。常設展示の絵画作品なども鑑賞。
 その後同館での講演会で講師を無事?務めて、一路高知入り。

1月29日
竹林寺
 早めにホテルを出立して、訪問。本堂に参拝後、宝物殿へ。重文・渡海文殊の群像(本尊は秘仏)を、みずらを結った善財童子像に注目しながらじっくり拝観。檀像彫刻である聖観音立像(重文)は、以前の訪問時は独立ケースで背面も見られたような記憶がある。今は壁面のひな壇に安置され、少し遠くなって残念。

高知県立美術館
・特別展 ポップ・アート 1960’s→2000’s
(12月19日?3月27日)
 そばを通ったので表敬訪問。開催中の本展を鑑賞。ポップアートの流れを「お勉強」できて有益。しかし、白亜の殿堂に並ぶと、「ポップアート」という概念自体がある種の権威性を帯び、ポップアートをポップに受容できなくなるなあと、門外漢なのでいいかげんなことを考える。図録あり。

高知県立歴史民俗資料館
・国の重要文化財に指定された県内最古の木造菩薩坐像(養花院菩薩坐像)
(1月8日?1月30日)
 昨年新たに重要文化財に指定された養花院の菩薩坐像を公開。東博での新指定文化財展に行けなかったので、滑り込みではせ参じる。像高25.7?で左足を降ろしたいわゆる半跏像。報告では桜かとみられる材から、本体・台座蓮肉部を彫出し、山口・神福寺の檀像、唐招提寺木彫群との比較の中で奈良時代の檀像の新出作例として評価されている。養花院はもと京都・竜安寺の塔頭で、明治25(1892)年に移転。詳細な図版など、今後の報告をまちたい。

企画展「昔のおもちゃ博物館―山崎茂さんの全国郷土玩具行脚」
(1月2日?3月6日)
 郷土玩具が展示室内にびっしり!(多すぎるぐらい(^_^;))。高知市在住の郷土玩具コレクターより資料が寄贈されるにあたり開催。その山崎氏のひとことが記されたパネルもあり、展示に奥行きをましている。昨日の徳島城博物館の場合もそうだが、伝来史の重要性を改めて感じる。図録あり。

定福寺
 山間に移動し、大豊町粟生の定福寺へ。本堂の平安時代末(あるいは鎌倉時代初か)の阿弥陀・薬師・地蔵《高知県指定文化財)など拝観し、宝物館へ。笑った表情の像を含む六地蔵(平安末?鎌倉初か)や孝養太子立像(南北朝)、境内熊野神社伝来の神像など、数々の文化財に嘆息。寺史の書籍など求めようと庫裏を訪ね、ご住職・副住職と歓談。先代住職が収集し現在重要有形民俗文化財に指定されている民具の保存のため、NPO定福寺豊永郷民俗資料保存会を設立し、新たな資料館の建設を計画中とのこと。ご住職の、「自分のお墓も作った。もう、資料館建設だけが私の願いの全てです」との別れの際の言葉が胸に残る。賛同の思いで、募金先をここに示す(定福寺豊永郷民俗資料保存会、郵便振込口座番号:01680-4-100334、一口10,000円)。定福寺のウェブサイトはこちら

豊楽寺
 定福寺を辞して、同町寺内の豊楽寺へ。仁平元年(1151)建立の国宝薬師堂内の仏像群のうち、釈迦如来坐像の像内に仁平元年(1151)銘があり、研究史上で著名。寒い堂内で、住職の奥様とお話ししながら拝観。昨年新たに重文への附(つけたり)指定となった日光・月光菩薩像は、修理により後補の彩色が取り除かれ、釈迦如来坐像との類似が確認しやすくなり、本来の脇侍像であったと判断されたもよう。ただし両脇侍菩薩像間の作風は一致せず、日光菩薩像は月光菩薩像の「写し」のような特徴がみえる。工房内の熟練度の不揃いか、それとも後補か、簡単には答えはでない。堂内に安置の朽損はげしい神将形立像(広島・古保利薬師堂の像と類似。鉈彫りの痕跡あり。10世紀か)や菩薩形立像(11世紀か)なども拝観。あわせて、無理をお願いして庫裏に安置されている平安時代後期の等身の天部形立像3躯も拝観。うち2躯はさきほどの脇侍像とともに重文附指定された。この3躯、作風は二手に分かれるが、どの二体が指定対象なのか、現場では判然としなかった。今後の報告などを、まちたいと思う。
 ところで、薬師堂内の薬師如来坐像と阿弥陀如来坐像は、定福寺の阿弥陀如来坐像・薬師如来坐像・地蔵菩薩坐像と作風が一致していることはすでに知られている。当該地域を活動基盤とする仏師の存在が見える事例であり興味深い。新たな附指定?の天部形像の1躯についても、定福寺本堂の毘沙門天立像と似ているように感じたが、また図版などで確認してみよう。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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