観仏三昧的生活のこぼれ話とミュージアムや文化財に関するトピックス。
末吉武史「宗像市・承福寺の建武年銘如意輪観音像」(『福岡市博物館研究紀要』21、2011年3月)本像は、海上交通と密接な関係をもつ北部九州の在地的な如意輪観音の信仰を具体的に知ることのできる好例であり、九州や瀬戸内においてしばしば残る十三、四世紀に制作された如意輪観音像の意味を考えるうえでも新たな視点を提示するものと言えよう。(12ページ)
末吉武史「直方市・法華寺の承福寺の建武元年銘十一面観音像」(『福岡市博物館研究紀要』21、2011年3月)本像が建武元年に制作された本格的な作例であり、鎌倉後期から南北朝時代に九州で活躍した「西国湛派」仏師の手になる可能性が高いことを指摘した。また、銘文に記された人名と周辺の環境を検討するなかで、遠賀川流域の椿八幡宮を中心とする中世寺院のネットワークの存在が浮かび上がり、造像背景として河川を重要な活動の場とした律宗教団、とりわけ泉涌寺流や天台系の恵鎮流との関連が想定された。(27ページ)
Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。
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