「仏像を修理する工房は彩色分析を行うには適した環境といえる。これまで筆者がサンプリングから分析まですべてを行ってきたが、この研究をますます進めていくには研究スタッフの助力が必要になろう。そして美術史研究者、保存科学研究者、修理技術者の共同研究として発展させていかねばならない。データ解析において、三者が情報を補完し合うことで正確な考察を導きだすことが可能となるはずだ。その結果をデータとして数多く積み重ねることにより、木寄せ法に対するもう一つの造像技法として美術史の研究にも貢献できると考える。」(明珍2007、10頁)
明珍素也「仏像における彩色分析の試み」(『武蔵野美術大学研究紀要』38、2007年)
玉稿拝受しました。ありがとうございました。仏像の表面仕上の観察に、クロスセクション分析法を用いる研究手法、新鮮な気持ちで拝読しました。「モノ」が持つ様々な情報を抽出しそこに意味を見いだす行為は、まさしくモノにまつわる歴史を読み解くことに他ならないと思います。この新たに示された手法は対象に真摯に対峙される中で生じてきたものと拝察しました。脱落し復元することのできない微細な彩色片を、
対象に真摯に対峙するが故に分析の試料とすることは、結果的に文化財保存につながるものだと思います。
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