2011年度博物館経営論(於帝塚山大学)アンケートの4回目は、「あなたの「国立博物館」のイメージは?」。回答の50音順に提示します。
・大きい。
・大きな建物。多くの資料がある。お堅いイメージ。
・
お堅いイメージで軽い気持ちで入れない雰囲気。・重苦しい雰囲気があって気軽に行きにくい。そして人が多い。有名な展示会などが来ない限り進んであまりいけません。
・かたい。きびしい。他より物が多く展示されている。
・
国が建てたもので、何かしらの違う雰囲気があって縛られている感じ。・警備が十分にしてある。
・
厳格な空気が流れてそう。・
公的博物館の最上位。国家的なモノの展示がしてありそうなイメージがある。・重要度が高く、保存がしっかりし、感動させてくれる文化財がある。
・設備が整っている。厳かで自然と口数が減る。
・
全国の博物館の主軸。・大事な品(国宝)を保管しているイメージ。
・
多少かたっくるしそうだけど、しっかりしてそう。・建物的にもすべてが大きい。展示されているものが重要文化財。
・展示しているものをみてもよく分からない難しいイメージ。
・展示する会場が広く、ギャラリーが多い。
・博物館のお手本となるイメージ。
・人が混んでいるイメージと堅苦しいイメージがあります。
・
膨大な数の資料を所蔵し、研究が盛んなイメージ。・間近でめったに見ることができない展示物を見られるイメージ。
・「見せる」ことにはまだ不完全。保存型の博物館。
・有名なものが展示してある。
次週、独立行政法人国立文化財機構法についてとりあげるので、国立博物館にどういうイメージをもっているのか聞いてみました。いろいろな機構改革が続くなか、国立館は各館の特徴を活かしつつ、変化しています。それでもやはり国立館には通底する独特の特質があるように思います。「厳格な空気」「お堅い」「しっかりしてそう」といったイメージは、逆にポップで軽くてふわふわした国立館というのがイメージできないだけに、これからも自然と維持されるだろうと思います。
ポイントになるのは「全国の博物館の主軸」「公的博物館の最上位」というイメージ。そうあってほしいのですが、法律上は全国の博物館の最上位と単純に言えないところにジレンマがあります。これは博物館法と独立行政法人国立文化財機構法に分かれていることによる「断絶」によるものです。博物館法は教育基本法に連なる法律で、独立行政法人国立文化財機構法は文化財保護法に連なります。文化財保護法の理念は「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献すること」、教育基本法の理念は「世界の平和と人類の福祉の向上に貢献するという理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進すること」。すなわち国立博物館と地方公共団体立博物館は、理念が異なっているという大きなギャップがあるのです。
細かな点では博物館同士の連携一つでも、博物館法では第3条10項に「他の博物館、博物館と同一の目的を有する国の施設等と
緊密に連絡し、
協力し、刊行物及び情報の交換、
博物館資料の相互貸借等を行うこと。」とありますが、これが国立文化財機構法第12条9項では「第二号、第三号及び第五号から第七号までの業務に関し、地方公共団体等の求めに応じて
援助及び
助言を行うこと」とあり、独法化後も上下関係を厳格に残したままです。
ギャップをいかに解消するか。法律の抜本的改正はたやすいものではありません(平成20年の博物館法改正時にもうまくいかなかった)。それならば法律とは別のモラルというレベルで、たとえば博物館の倫理規定を作るのならば、博物館同士が国立であろうが県立であろうが市町村立であろうが私立であろうが、対等の関係であり、そして大きな理念を共有することをうたいあげることが、必要のように思っています。
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