名古屋市博物館・特別展 仁王像修復記念 甚目寺観音展
(7月16日~8月28日)
仁王像修理を機として、本寺と塔頭の寺宝を中心に、甚目寺の歴史的展開と文化の諸相を総合的に展示する。
仁王像は像高約350㎝の巨像で、修理に際して発見された像内銘から、慶長2年(1697)に福島正則によって奉納されたこと、制作に当たったのは大大工西村又蔵・吉田彦宗、小工吉蔵・市蔵であることが判明。一見鎌倉時代風が濃厚な本像であるが、肩の盛り上がった筋肉表現、裙裾の重たげな表現、筋肉の平板な質感など細部に形式化が見られ、像内銘が確かに制作時期を表していると判断される。近世初頭における鎌倉時代様式の復活という問題は、同時期に豊臣氏関連の国家的造像事業で七条仏師(康正)が唐様から鎌倉風に作風を転回させていることと関連するだろう。福島氏はそうした最新のトレンドを自らの故郷に移植したとみられる。展示室内に子どもが遊べる仁王像の組み立て式構造模型があり、体験型のさわれる資料として参考になる。
ほか、注目は本展開催にあたって修理が施された鎌倉時代の愛染明王坐像で、像内に納められていたカプセル状の容器に小さな愛染明王像(五指量愛染)が納入されていることが発見。本展で公開された後は像内に戻されるとのこと。また元本堂安置の大徳院不動明王立像は、平安時代中~後期ごろの等身大の像。迫力ある威相が独特。
図録あり(144ページ、1500円)。コラムも多く、名古屋市博(及び名古屋市の他施設)の学芸員の総合力が存分に発揮されている。
トヨタテクノミュージアム 産業技術記念館 同行した子のために訪問。旧豊田紡織本社工場跡地で、レンガ造りの建物を再生した広々とした施設で、いろいろな織機と、車の構造や部品、制作課程を実物サイズで展示。車好きの長男が目を輝かせ、親もギアの仕組みや過給器付きエンジンの構造など新鮮に勉強。開催中の特別展「和・魂・洋・才~西洋の科学技術を活かした江戸の技~」(7月16日~9月4日)では学芸員による実演中。図録を「本屋では売っていません。ここでしか買えませんよ。」と宣伝。そうか、そんな言い方があったか。
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