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那智山及び那智川流域の被害状況について

 9月8日に、台風による被害を受けた和歌山県東牟婁郡那智勝浦町の那智山と那智川流域の現状を確認しました。先にツイッターで提示した内容を元に、情報共有化のため、若干の写真とともにここに提示します。

 中辺路が寸断されて走れないので、紀伊半島の海岸沿いに国道42号線を走る。那智勝浦町まで全く問題なく走れる。
 那智川流域の状況、あちこちに車がひっくり返り、家が壊れ、浸水し、道は崩落し、自衛隊や消防等による災害復興が行われていて、あまりに記憶の中の那智のたたずまいとは違いすぎて、足が震えるような気持ちでした。東北地方の震災と津波による被害と、重なる光景でした。
 各集落では、家々で水損した家具などを搬出し、ボランティアの中学生たちも手伝って清掃作業中。
那智0908-1

 大門坂そばの大駐車場まで車でのぼり、そこから先の道は崩れて通行不能のため、大門坂を歩き出す。ちょうど熊野那智大社の職員のみなさんが物資搬入のため、崩れた先の道まで車を出していたので、ありがたく同乗させてもらう。
 熊野那智大社の重文の社殿の裏山が崩れて(正確には大量の水が流れて表土が崩れた)、大量の土砂が流入し、社殿を半分ほど埋めている状態。人力では手の施しようがない規模という印象。ただ山上に至る道が寸断されており、重機の搬入は当分先になりそう(神域内画像は自粛します)。電気、電話が通じず、職員さんたちも疲労の色が濃い。宝物殿は無事。
 那智山青岸渡寺の状況も確認。若干石塔類で倒れたものはあるが、泥の流入があったていど。重文の本堂に被害なし。職員さんたちが境内の清掃作業中。

 那智滝では尋常でない水量により滝下周辺の巨岩群が動き、少し下にあった文覚の滝は消失。展望台付近から下の拝所まで崖面が大きくえぐれて崩落、付近の神社施設も土台下から崩れて宙に浮いているような状態。現地の景観が大きく変わっていました。印象としては、滝がよりはっきり見える感じではある。
那智0908-2展望台下から大きく崩れる。生えていた大杉も倒れた。
那智0908-3中央付近が文覚の滝だったところ。

 那智山を降り、市野々王子へ。市野々の集落も被害が大きかった。市野々王子は泥が流入し、参道に大きな水たまりができ、拝殿前の石垣が崩壊した。
那智0908-5市野々王子のようす
那智0908-4市野々付近の土石流の痕跡

 最も被害甚大な井関まで降り、災害復旧の活動の邪魔にならないように、重機が行き交う集落の中を縫って個人宅へ。那智山廊之坊文書(従来は潮崎稜威主<しおざきいつぬし>文書として知られてきたもの)の所藏者。本流とは川筋が異なっていたが、その川もかなり増水したものの、ぎりぎりのところで家屋への被害はなく、古文書は無事。ただ激しく増水してきたので、古文書の箱は2階に持ってあげたとのことで、守る意識も高かった。

 なお、補陀洛山寺は被害なし。那智勝浦町内の大泰寺では、周辺集落は水没したが、寺は被災なく、重文阿弥陀像も無事でした。
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コメント

[C177]

那智付近の被害状況の情報を提供いただきありがとうございました。しかし、その惨状に呆然としています。
今は田辺市滝尻の熊野古道館の復旧ボランティアに時おり出掛けています。友人である管理者と共に展示室は何とか利用できるように復旧させましたが、後のことをどうするか、心配の種はつきません。
  • 2011-09-17 22:22
  • 阪本敏行
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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