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展覧会・文化財を見てきました(2011年10月16日、法然上人と岡山ほか)

岡山県立博物館
・特別展 法然上人と岡山
(10月7日~11月13日)
 開館40周年事業として、美作国稲岡荘に漆間時国の子として生まれた法然について取り上げる。前半は知恩院本法然上人絵伝(国宝)や当麻寺奥院本の法然上人行状絵巻(重文)など縁起を利用して法然の生涯を紹介し、後半は浄土教美術という枠組みで優品を集め、最後に法然生誕地に創建された誕生寺の文化財を集める。
 近年見出された知恩寺阿弥陀如来立像は作風から12世紀末ごろの快慶作とみて間違いない優れた作例。明恵が法然の専修念仏を批判した摧邪輪は鎌倉末の最古の写本である仁和寺本を展示。ほか絵画では浄厳院阿弥陀聖衆来迎図(重文・平安時代)、清凉寺十六羅漢(国宝・北宋)のほか、清浄華院浄土五祖像(南北朝時代?)は中国風が顕著な五幅セット。彫刻では、弘法寺被仏(迎仏)は人がすっぽりとかぶって行道するための仏像で、総高2m50㎝ほどに達する鎌倉時代中期の阿弥陀如来像。野神社随神像は応保2年(1162)銘をもつ像で、法然の出身氏族である漆間氏発願。同じく摩賀多神社の文殊大明神坐像は応安3年(1370)仏師定忍の作で、漆(間)時重が施主。南北朝期の神像彫刻としても貴重な作例。誕生寺の阿弥陀如来立像は鎌倉時代前期頃の作例で像内に納められた摺仏も展示。
 想像していた以上に充実したラインナップで、近畿圏の浄土宗関連資料の優品とともに、地域に残る法然関連資料・浄土信仰資料をフォローしていて、見応えあり。特に展示の第四章「誕生寺の歴史と文化財」の意義を大きく評価したい。図録あり(120ページ、1200円)。

兵庫県立考古博物館
・特別展 みほとけの考古学-中世民衆と仏教信仰-
(10月1日~11月27日)
 中世の仏教信仰に関わる出土資料を軸にして、祈りの諸相を展観。川西市の栄根寺薬師堂本尊薬師如来坐像(県指定)は、阪神淡路大震災の際に文化財レスキューで救出された像。頭隊通じて一木より木取りし、膝前にわずかに別材を矧ぎ付ける。展示では平安時代後期とするが、量感にあふれ、肩も少しいからせた古様な作風は平安時代前期、9~10世紀初ごろの特徴。一昨年重文指定された円教寺の性空上人坐像は、正応元年(1288)慶快の作。頭部内面に性空の遺骨を瑠璃壺に入れて納める。豊岡市の妙楽寺遺跡群出土の地鎮のための密教法具類は、大型で阿弥陀三尊・弥勒三尊を鋳あがりよく表した錫杖頭(重さ2756gとのこと)や、やはり大型の宝珠杵や六器など、鎌倉時代の優れた一群。考古資料では経塚出土資料も多く展示。絵画では中山寺の中山寺参詣曼荼羅(桃山時代)。考古系の博物館らしからぬ(?)バラエティに富んだ資料選定で、どれも間近に鑑賞できる貴重な機会。図録あり(66ページ、999円)。
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コメント

[C180] 浄土宗の開祖

京都知恩院さんは法然さん

法然さんは岡山県出身でございましたね。忘れていたなあ

800年遠忌でございます
  • 2011-10-17 08:23
  • 法然さんは
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。

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