八尾市歴史民俗資料館・八尾の至宝-八尾市指定文化財20周年記念-
(10月8日~11月28日)
最終日に滑り込み。八尾市内に所在する指定文化財(国・県・市指定)を、実物とパネルで紹介する。お目当ては玉祖神社の男女神像(府指定)。男神像は僕頭冠+前方に冠飾を伴う別の冠を二重に着け(ているように見える)、二重の内衣と襟を高く立てた袍をまとい趺坐する。女神像は長い髪を中央で振り分け、内衣、ガイトウ衣をまとい、左膝を立てて坐り、両手は立てた膝の上において持物をとる。古様な形式を多数残しながら、表現に穏やかさも含まれていて、作風からは10c後半~11c初ごろの造像と判断される。同館の平成22年度特別展「高安の神と仏 人と信仰」展の際に翻刻されていた河内国高安郡玉祖大明神之縁起には、「一条天皇御宇長保四年壬寅別当并神主歴於奏聞、新開山麓勝地也、取山頂之神殿、奉遷今之地也」とあって、同社が長保4年(1002)に遷宮されたことが確認できる。作風とも一致するこの年代は、神像の造像時期と判断しうるとても重要な情報である。神像の基準作例となる稀少な事例と思われ、さらに研究を進めたいトコロ。ほか彫刻では南北朝期の武士の肖像である常光寺の伝又五郎大夫盛継坐像、同寺の鎌倉時代の毘沙門天立像(以心崇伝安置と伝承)など。図録あり(96頁、700円)。鑑賞後、山をのぼって玉祖神社参拝。八尾を見晴るかす雄大な眺望の地であることを実感。
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