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玉稿拝受(「祈りのコスモロジー」)


「つまり、「聖なる山」は西欧のキリスト教をモデルとする宗教の概念で把握されており、日本語訳の「信仰の山」とはズレがあった。さらに言えば、「信仰」もまた個人を主体とする近代の文化と自然をわけ、自然を対象化する思考がある。西欧では、山を人間界から隔絶した場所として捉え、悪魔や魔物の住む所であり、近代アルピニズムの成立以前は、登山の慣行はなかった。ところが、日本には、山への登拝や交流の長い歴史があり、自然を一元的にとらえることなく、流動的で豊かで多様な文化をはぐくんできた。山をめぐる祈りのコスモロジーは、異文化理解の観点から「文化的景観」の普遍性を問い直す異議申し立ての事例と言えるかもしれない。」(57頁)

鈴木正祟「祈りのコスモロジー」(『遺跡学研究』8、2011・11)
ありがとうございました。
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大河内智之

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「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。

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