東寺宝物館・特別公開 東寺の法会用具-祈りと美-
(3月20日~5月25日)
舎利会や堂塔供養などで用いられた鎌倉~南北朝時代の用具からなる、東寺の重要文化財・法会諸用具類が、平成23年度に追加分を新たに指定されたことを契機として展示。これまで未指定だった阿修羅、迦楼羅など複雑な造形の八部衆や獅子子などの優れた中世の行道面をじっくり鑑賞。ほか平安時代の水精製念珠(重文)など。図録ないが、A48ページのリーフレットあり。ミュージアムショップで『もっと知りたい東寺の仏たち』購入。講堂諸尊をしっかりと鑑賞して、平安初期密教彫像の様式についてしばし考える。金堂、五重塔、観智院も拝観。
檀王法林寺・檀王法林寺開創400年記念 琉球国王からの贈り物
(4月28日~5月6日)
九州国立博物館と沖縄県立博物館・美術館で開催された「琉球と袋中上人展-エイサーの起源をたどる-」展へは行けなかったが、そこで展示された資料がお寺でも公開されるありがたい機会。開山・袋中上人(良定・1552~1639)ゆかりの琉球国尚寧王贈与品のほかに、個人的に注目したのは、寛永元年(1624)絵師竹坊藤兵衛・藤三郎の描いた中将姫臨終感得来迎図と、同3年(1626)に竹坊藤兵衛が描いた八相涅槃図。竹坊は戦国時代末期に南都に登場した仏画を主に描く絵師の工房で、南都絵所とはおそらく出自を異とするもよう。初期の作品はやや筆致の荒いものなどあまり洗練されたものとはいえないが、檀王法林寺の二幅は、やや特殊な画題を堅実に描いたもので、南都出自の新興絵屋が中近世移行期を経て、近世社会の安定の中でしっかりと根付いたらしいことが見える。楼門安置の四天王は、像高2mを超え、大阪府・興善寺旧蔵と伝える。1躯は平安後期、他は中世の模古作との評価あり。
京都国立博物館・特別展覧会 王朝文化の華 陽明文庫名宝展-宮廷貴族近衛家の一千年-
(4月17日~5月27日)
陽明文庫所蔵の近衞家伝来の名品を展示。御堂関白記、平記、中右記、兵範記、愚昧記、吉黄記、歌合、大手鑑、倭漢抄、熊野懐紙、明恵夢記、諸消息類と、挙げだしたらきりがない古代~中世の日記・古筆がずらり。この文庫が無事でなかったら、平安後期~鎌倉時代の中央政権の歴史の何割かは再構築できなかったことを実感。熊野懐紙3幅が並ぶ機会も多くはないので、じっくり鑑賞。ほか刀剣、人形、近世・近代絵画も。図録あり(2300円)。
法性寺・平成24年度京都春季非公開文化財特別公開
(4月27日~5月6日)
特別公開とのことで、参拝。本尊の千手観音立像は、本面の左右に脇面がつく三面千手で、頭上に24面を表す特殊な図像。初期密教彫像の雰囲気を残す10世紀前半の作例。観賞場所が像からやや離れていて、小さな像でもあるので(像高101㎝)、よく見えず残念。本堂内にはほかに、南北朝~室町時代前期の阿弥陀如来立像や平安時代中期ごろの地蔵菩薩立像なども安置されるが、こちらも遠い。入れ替え制で強制的に解説を聞くパターンなので、自由に拝観できず、かつ時間を取られるのもつらいが、それでも気軽に拝観できる機会があるのは、ないよりもいい。
東福寺・特別名宝展 聖一国師の遺宝-法をつたえ 宝をまもる-
(4月21日~5月6日)
光明宝殿に特設会場を増設して、東福寺開山の聖一国師・円爾弁円(1202~1280)に関連する重要資料を展観。聖一国師度牒(重文)、聖一国師戒牒(重文)、東寺天台血脈図(重文)、無準師範墨蹟円爾印可状(国宝)、禅院額字・勅賜承天禅寺(国宝)、藤原道家像(重文)、聖一国師像(重文)、東福寺条々(重文)、聖一国師墨蹟遺偈(重文)等が、露出で(!)、目の前50㎝に(!)展示。至福のひととき。なんといっても勅賜承天禅寺の額字の身震いがする雄渾さ。また南宋時代の円爾弁円有髪像は未指定であるのが不思議な重要作例。図録ないが、『東福寺の国宝』(東福寺編集発行、24頁、600円)購入。光明宝殿では万寿寺の阿弥陀如来坐像(重文)や金剛力士立像(重文)、三門安置の二天立像もじっくり鑑賞。三門楼上にも登り、釈迦三尊・十六羅漢像拝観。さらに塔頭同聚院で康尚作の不動明王坐像も拝観。
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東寺宝物館・特別公開東寺の法会用具-祈りと美-(3月20日~5月25日)舎利会や堂塔供養などで用いられた鎌倉~南北朝時代の用具からなる、東寺の重要文化財・法会諸用具類が、平成23年度に追加分れたことを契機として展示。これまで未指定だった阿修羅、迦楼羅など複雑な...
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