観仏三昧的生活のこぼれ話とミュージアムや文化財に関するトピックス。
大河内智之「中津川行者堂(極楽寺)の修験道関連資料」(『和歌山県立博物館研究紀要』18、2012年3月)「本稿では、中津川行者堂(極楽寺)と熊野神社の修験道関連資料について紹介した。筆者の力量不足で碑伝・護摩札の内容分析にまで踏み込めず、また各資料を総合的に把握した修験道史の叙述も行えなかったが、今後これら資料の分析を通じて、中津川の宗教環境の形成過程や、聖護院により葛城修験の拠点として位置づけられる過程について、粉河寺と本寺である聖護院の関係性についても注視しながら、検討していく必要がある。
そうした検討を行う上で、中津川行者堂(極楽寺)で発生した文化財の盗難は、歴史を再構築する上で大きな足かせとなっていることを改めて強調したい。文化財盗難は地域の歴史を証明する資料を強奪する行為であって、いわば人々の歴史自体を奪う卑劣な行為ともいえるだろう。またそうした犯罪行為による被害は物理的なものにとどまらず、盗まれた地域の人々の心や絆にまで大きな痛みとダメージも与えることとなる。本稿第二章第3節で紹介した盗難文化財の現所在についてお気づきの情報があれば、ぜひご教示願いたい。」(24ページ)
Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。
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