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玉稿拝受(真宗肖像彫刻、神像と近代)


「ひとつは、肖像画においては、親鸞以来、生前に制作がなされる事例が確認できるのに対し、肖像彫刻の造立はいずれも像主の没後であり、生前に造立が遡る「寿像」の存在は確認できない点にある。このことは、禅宗あるいは時宗の肖像彫刻に「寿像」が少なからず存在することを思えば、一線を画している。しかも像内には遺骨(焼骨)が納置される場合が多く、これが中世真宗の肖像彫刻を造立する契機となり得たものとも考える。ふたつめは、中世において真宗門徒が肖像彫刻を造立する風潮は、京都から地方に及んだのではなく、それは東国門徒の主導のもと京都に及んだ点にある。一般に文化的事象が京都から地方へと拡がって行くことを思えば、このことは特筆されてよい。」(417-418ページ)

津田徹英「中世真宗の祖師先徳彫像の制作をめぐって」(『美術研究』406、2012・3)

「神像の発見は、これまで見てきたように式内社和志取神社にかかる論社問題のなかで発見された。『社誌』に見る柿崎村側の根拠は、文政年間頃までは奥宮にあったとする時期不明の石碑や慶応二年に建立した石標をかかげるものの、一貫して地名(字名)考証によるものであった。それに対して西本郷村は地名考証のほか、その根拠に「神璽」「古塚」など、いわゆるモノ(「文化財」)に求めた点が大きく異なる。(中略)こうした文献資料と物証(「文化財」)の両者を結びつけ歴史的事実を明らかにしようとする姿勢は、極めて近代的な手法といわねばならない。」(9ページ)

長谷洋一「愛知県岡崎市和志取神社蔵女神像について-近代式内論社と文化財-」(『関西大学博物館紀要』18、2012・3)
玉稿頂戴しました。ありがとうございました。
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「ひとつは、肖像画においては、親鸞以来、生前に制作がなされる事例が確認できるのに対し、肖像彫刻の造立はいずれも像主の没後であり、生前に造立が遡る「寿像」の存在は確認できない点にある。このことは、禅宗あるいは時宗の肖像彫刻に「寿像」が少なからず存在するこ...

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大河内智之

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「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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