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拙稿紹介「ロビー展「仮面の世界へご招待」がもたらしたもの」


「ユニバーサル・ミュージアムという概念には、おそらく「これだけしたら十分だ」という達成点はないでしょう。もしあるとすれば、この博物館は自分のために作られている、と誰もが感じられた場合です。もちろんそれはなかなか難しいことです。
 それでも、一人でも多くの人に充実感を抱いてもらうためにどうすればよいのかという問いは、決して難しいものではないと思います。本稿での紹介をふまえれば、それは情報が届きにくい人に向かって発信していくチャレンジをやめないことだろうと思います。
(中略)
 所与の条件の中で、さまざまなつながりを活かしながら、何を伝えるのかという理念を持って、届きにくい人に向けて情報を発信していくチャレンジをやめなければ、必ずそれは多くの人の心に学びと楽しみをもたらすでしょう。それこそがユニバーサル・ミュージアムの理想的な達成点に近づいていく方法ではないでしょうか。」(238-239頁)

大河内智之「ロビー展「仮面の世界へご招待」がもたらしたもの-さわって学ぶ展示の重要性-」(広瀬浩二郎編『さわって楽しむ博物館-ユニバーサル・ミュージアムの可能性-』、青弓社、2012・5)
 掲載書は、昨年10月に国立民族学博物館で開催された公開シンポジウム「ユニバーサル・ミュージアムの理論と実践-博物館から始まる『手学問のすゝめ』」の内容を単行本化したもので、論文16編、コラム6本からなります。
 ユニバーサル・ミュージアムについては、編者の広瀬さんの序文に、

これまでの博物館における障害者対応といえば、弱者への援助という福祉の文脈で論じられることが大半だった。僕は視覚障害者/健常者という陳腐な二分法に対し、「触常者=触覚に依拠した生活をする人」「見常者=視覚に依拠した生活をする人」という新たな呼称を提案している。ユニバーサル・ミュージアムは触常者と見常者の異文化間コミュニケーションの場を創出する装置なのである。

とあります。ミュージアムのユニバーサルデザイン化を促進する、一つの概念です。
 ご興味のある方、ぜひどうぞお手に取ってみてください。(青弓社、2000円+税)
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「ユニバーサル・ミュージアムという概念には、おそらく「これだけしたら十分だ」という達成点はないでしょう。もしあるとすれば、この博物館は自分のために作られている、と誰もが感じられた場合です。もちろんそれはなかなか難しいことです。 それでも、一人でも多くの...

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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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