観仏三昧的生活のこぼれ話とミュージアムや文化財に関するトピックス。
藤井弘章「江戸時代の紀州における本草学者のウミガメ調査と漁民の民俗知識」(『動物考古学』27、2010・5)「漁民たちは、自然のなかで生物と対峙しながら、捕獲しようと思う生物に対する豊かな民俗知識を形成してきた。こうした民俗知識は、他地域の漁民、商人、本草学者たちとの交流でさらに展開する。本稿で取り上げたのは、ウミガメのみであるが、その他の魚類、海洋生物に関する知識なども同様であろう。このような、豊かな民俗知識がはくぐまれた紀州で、本草学者たちは活躍してきた。本草学者たちは野外に出て、漁民の民俗知識と文献の知識を照合させる。本草学者が動植物の名称や利用方法に関して聴き取りをすることで、地域の中で動植物が意識化されるようになる。他地域の漁民などとの交流で深まった民俗知識をさらに本草学者が記録する。民俗知識の形成は、このように動的な流れで捉えないと理解できない。」(藤井2010、45ページ)
Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。
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