11月4日
鶴林寺
・本堂秘仏本尊特別開帳・鶴林寺新宝物館開館記念特別展
(10月6日~11月25日) 2002年、鶴林寺所蔵の高麗仏画である阿弥陀三尊像(重文)と、聖徳太子絵伝(重文)が韓国の窃盗団により盗難にあった。聖徳太子絵伝は窃盗団との交渉で翌年買い戻され、さらにその翌年に犯人は逮捕されたが、阿弥陀三尊像はなお取り戻されていない。この事件を契機に、セキュリティー強化のために新たに建設された宝物館の、開館記念展と、慶賛特別秘仏御開帳。
本堂の秘仏本尊薬師如来坐像(重文、平安時代前期、10世紀)は、前回の開帳に行けなかったため初見。次回は2057年との由。写真のずんぐりとした印象とは違って、実際の像は腕をゆったりと構え(肘の造形がきちんとなされている)、膝の張り出しも大きく安定した伸びやかな印象があり、指定では10世紀後半とされる造像時期より、古いスタイルも含むように感じる。太子堂(国宝・平安時代)内陣も公開され、肉眼ではほぼ見えないその壁画に目を凝らす。
新宝物館では、本堂内陣厨子内安置の本尊脇侍日光菩薩・月光菩薩立像、二天立像(全て重文)が移され、間近で拝観できる。近世の修理により像表面に厚めの下地が施され、造形がやや甘くなっているが、それぞれ重量感があって、動勢の軽やかさを減じた印象は、10世紀彫像の特徴。10世紀後半造像の圓教寺釈迦三尊像・四天王像と近いのは確かであるが、中尊像との整合性など、やはりちょっと見ただけでは消化しきれない。
宝物館内には太子堂内陣須弥壇とその後壁、四天柱が、そこに描かれた絵とともに復元されており、大変参考になる(復元は東京藝術大学)。その他、同寺所蔵の指定物件を中心に、仏像仏画がずらり。高麗仏画の阿弥陀三尊像は、複製が作られ懸けられているが、民族問題が主たる要因となって理不尽にも返却されないのは、返す返すも残念。図録なし。
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