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展覧会・文化財を見てきました(「碓氷郡の神と仏」「足立の仏像」)

12月8日
安中市学習の森ふるさと学習館
・企画展 碓氷郡の神と仏
(11月3日~2月3日)

 安中市を中心とする碓氷郡に所在する寺社の文化財を集め、中世~近世における地域の信仰の歴史を概観する。時宗の拠点、聞名寺からは、善光寺式阿弥陀三尊像(鎌倉時代)や、一遍所持と伝承される袈裟・数珠・払子・持蓮華と笈、一遍上人立像(室町時代)、他阿真教立像(室町時代)を展示。一遍像は背面に穴が開けられ、納入品を後から納められたか(図録に正側背の図版あり)。
 満行寺の男神坐像(群馬県指定・鎌倉時代)は、頭巾を着け、長髪で、襟の高い衣を四重(?)にまとって袈裟を着けて座る。修験における高位の行者の姿をとる。満行寺に隣接する上後閑榛名神社伝来で、その祭神満行大権現の姿を示す貴重な作例。近年の修理の手が大きく入っているが(虫損甚大だったもよう)、本来の姿を留めている。他にも女神像や童子形神像もあるとのこと(お寺では公開されているもよう)。また上後閑榛名神社本地堂本尊だった同寺の勝軍地蔵像(江戸時代)も展示。
 妙義神社所蔵の両手を失う菩薩坐像(室町~江戸時代)は尊名不詳として展示されるが、構造を見る限り、本来は千手観音像であったことは確実。妙義山の本地仏であったものか。碓氷熊野神社の牛玉宝印版木と宝印も展示。「日本太一」と版面に刻まれるものは、この碓氷熊野神社宝印の特徴(図録に関連論考として大河内千恵「碓氷峠牛玉と信玄武将の起請文」あり)。ほか、野殿白山神社太々神楽の神楽面(江戸時代後期)を展示。図録あり(142ページ、1200円)。

足立区立郷土博物館
・特別展 足立の仏像-ほとけがつなぐ足立の歴史-
(10月20日~12月9日)

 足立区内の寺院調査の成果に基づき、区内所在の仏像を、主に近世の資料を中心に紹介。東善寺阿弥陀如来立像は、頭部が江戸時代の後補となるが、退部は鎌倉時代の堅実な作風を示す。吉祥院弁才天坐像は元禄6年(1693)銘を有し、常喜院大日如来坐像は元禄12年(1699)に七条大仏師法橋福田の作。細井家経蔵伝来の釈迦如来立像は、近世の清凉寺式釈迦像として興味深い。ほか、高村東雲の作例や、西光院の瓦製弘法大師像、セルロイド製の大黒天・恵比須像なども。地域の仏教系習俗として、釈迦堂の大般若会は大般若経を神輿として巡行したもので、興味深い。図録あり(222ページ、600円)。区内の寺院ごとに調査成果を提示する。多田文夫「江戸東郊農村の造像と修理」、萩原ちとせ「足立の産業が生んだ仏像」など地域史を踏まえた好論も掲載される。なお、今年度中に足立区仏教遺産調査報告書が刊行されるとのこと。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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