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展覧会・文化財を見てきました(龍谷ミュージアム「若狭・多田寺の名宝」)

2月9日
龍谷ミュージアム
 企画展 若狭・多田寺の名宝
(2月9日~4月7日)

 多田寺の歴史と文化を紐解く冊子作りを契機として、寺と学芸員の深い信頼関係のもと、秘仏をも出陳する企画展として結実。
 秘仏本尊薬師如来立像、その脇侍として祀られる日光菩薩(十一面観音立像)、月光菩薩(菩薩立像)は、本来三尊像として造像されたものではないが、どれもが奈良~平安初期に遡る古作で、日本の木彫の歴史を考える上で貴重な情報を提供する。薬師如来立像は独特の風貌が印象的であるが、体躯の立体表現は元興寺薬師如来立像などと通じる正統的なもの。側面、背面も鑑賞できることが、何よりありがたい。菩薩立像は室生寺弥勒菩薩立像にやや通じた奈良末~平安初期の作例。最も古様を示す十一面観音像は、檀像ではあるが、例えば那智山出土の東博・銅造十一面観音立像(7c)にも通じるところがある。同展の図録(76ページ、1050円)所収の芝田寿朗「若狭多田寺-地域から見た諸尊造立の背景-」でも、台座形状なども考慮して7c末~8c初という見解を提示しているのは、重要な指摘。同論文は、綿密な地域史理解を踏まえて古代多田寺を位置づけ、三尊像の評価に努めており、安易な神仏習合論や印象論を退けていて、堅実。
 ほか、本堂須弥壇上に安置される平安時代前期の四天王立像は、動きがあって重量感にあふれる。周辺寺院から移動した仏像群のほか、もと多田寺伝来で、滋賀県・大通寺に移されている 貞治2年(1363)銘の梵鐘、若狭地域の仏像なども展示。
 龍谷ミュージアムで今年度開催された「仏教の来た道」「“絵解き”ってなあに?」「若狭・多田寺の名宝」は、ここでなければ企画されることのなかったテーマばかりである。開館2年にして、大学附属の学術施設として、ミュージアムとしての確固たる地位とカラーを築きあげたスタッフのみなさんに、敬意。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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