4月20日
・特別展 国宝大神社展
(4月9日~6月2日) 神宮式年遷宮を記念した神社本庁の特別協力による神道美術展。春日大社・厳島神社・鶴岡八幡宮・熊野速玉大社・熱田神宮の古神宝と、諸社等所蔵の祭礼所用具、奉納品、神像を展示の核とし、神祀りのあり方とその美意識の基層を美術資料から浮かびあがらせる。神仏習合や中世神話などの混沌とした一面が展示の中で前景化しないのは、「神道」展として「物語」を複雑化させない配慮であるかもしれないが、厳しく言えば近代期に形成された神道イメージの再生産ともいえ残念。
ただし、なにより本展における大きな意義は、最終章の「神々の姿」にあると強調したい。神社本庁が関わって開催される国立施設の特別展で、約40体の神像が大規模に展示されたという事実は、神像研究の上での大きなブレイクスルーである。宗教的禁忌を最大限に尊重しながら、人々の営みの極めて象徴的な痕跡といえる神像の調査と共有化の道が少しずつ開かれていることは、神道の現代化の大きな達成であり、敬意を表したい。図録あり(340ページ、2300円)。
・特集陳列 平成二十五年新指定国宝・重要文化財
(4月16日~5月6日) 恒例、文化庁による新指定文化財展。なんと言っても、新たに国宝となった、運慶の手になる願成就院諸尊のうち、不動明王及二童子立像をじっくりと鑑賞。あまり立ち止まる人もなく、しばらく独り占め。天才運慶というイメージも相まってあたかも完璧な造形と思い込みがちであるが、若き運慶ゆえの荒さや単調さも垣間見え、得るものがあった。
もう一つの注目資料は、浅間神社で近時確認され則指定された浅間神像。一木の三方に女神を彫出し、芯の部分に如来形像を配する姿で、類例がない。神の姿がいかに顕されるのか、新たな視点を提供する魅力的な一躯。
ほか彫刻では、これまで未指定だったのが不思議な東大寺の釈迦多宝如来坐像や、東日本大震災での被災後に修理で元亨4年院誉ら の作と判明した長福寺地蔵菩薩坐像、嘉暦4年覚清作の島根・清水寺の摩多羅神坐像など。
本館の展示を一通り鑑賞し(ミュージアムショップが1階に出現していることに驚く)、法隆寺献納宝物館で飛鳥仏を堪能したのち、リニューアルなった東洋館で中国彫刻やクメール彫刻をじっくり。学生に戻った気分でお勉強。でもぐったり。
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