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展覧会・文化財を見てきました(龍谷ミュージアム「極楽へのいざない」ほか)

9月10日
京都産業大学むすびわざ館2階ギャラリー
 企画展 京都大原 勝林院の仏教文化と歴史
(9月3日~10月20日)
 天台声明の聖地、勝林院開創1000年に際して京都産業大学日本文化研究所が行った調査に基づく展示。
 本尊阿弥陀如来坐像の像内調査で見つかった胎内仏3躯が展示の核。一躯は、像高49.5㎝の、平安時代後期の阿弥陀如来坐像。両脚部まで一木で木取りした、堅実な作風の像。他2躯は鎌倉時代と江戸時代の光背化仏とみられる作例。ほか、南北朝~室町時代の釈迦三尊像(展示名称:御懺法講本尊図)など22件による小展示。図録なし。京都にまた新しい施設ができて、このように京都の地域史展示を見ることができるのは喜ばしい。

龍谷ミュージアム
 特別展 極楽へのいざない-練り供養をめぐる美術-
(9月7日~10月20日)
 練り供養を核にして、来迎美術の諸相について多数の資料を集める。序章・1章で、浄土図・来迎図・地獄図、そして阿弥陀来迎図の諸本を提示し、人々が抱いた死への恐怖と、死後の安寧、極楽往生への希求を浮かび上がらせた上で、第2章で全国の練り供養の事例と作例の広がりを提示し、練り供養の歴史的意味を問う。
 前期9/7~29、後期10/1~20で展示替え多数だが、龍泉寺本(鎌倉・前期)、得生寺本(鎌倉・後期)ほかの当麻曼荼羅、松尾寺本(鎌倉・重文・前期)、新知恩院本(鎌倉・重文・前期)ほかの阿弥陀来迎図、法福寺阿弥陀如来坐像および二十五菩薩坐像(平安・江戸)、当麻寺奥院十界図(室町・重文・前期)、出光美術館六道絵(室町・後期)ほかの地獄図、弘法寺(鎌倉)と大念仏寺(江戸)の迎講阿弥陀如来立像、当麻寺・弘法寺・米山寺・四天王寺・光明寺・法隆寺・御調八幡宮・浄土寺・東大寺・吉備津神社・建暦寺・上花園神社・十念寺二十五菩薩来迎会保存会・相澤寺維持管理委員会ほかの行道面をずらりと展観する充実ぶり。
 阿弥陀が来迎するその具体的な救済イメージを疑似体験し、自らに救済が及ぶことへの確信を得ようとしたその心性史は、テクストからよりも、まさしく本展で展示しているような美術資料から明らかになる。ミュージアムという場だからこそできる「救済」の実態を追求する歴史究明の営みと評価したい。図録あり(184頁、2200円)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。

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