「江戸彫刻は良くも悪しくも、ここに終焉を迎えている。仏像は宗教という精神の柱によって支えられているものであって、一部の信仰者によって秀れた作品も作られたが、大勢はその世俗化によって低迷し、彫刻としては世俗的なジャンルに逃げ道を見出して行ったように思われる。次の明治前半期の彫刻は、そうした諸要素をアンチテーゼとして展開して行ったのである。」(田邊2008、77頁)
田邊三郎助『江戸時代の彫刻』(日本の美術506、至文堂、2008年7月)
江戸時代彫刻の流れを把握するための「バイブル」として有効に活用して参ります。江戸時代彫刻の地平の広がりはあまりにも大きく途方に暮れるところもありますが、モニュメンタルな造像を基準に一つずつ評価していくことの繰り返しの中で実態を解明していくことは、彫刻史家が必ずやらねばならない大きな課題だと、改めて認識しました。
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