3月2日、朝目覚めて、思い立って滋賀県へと車を走らせ、始まったばかりの展示を見てきました。
栗東歴史民俗博物館
小地域展 野尻の歴史と文化
(3月1日~4月13日) 栗東市野尻地区の歴史を、縄文時代から近代までの資料から通覧する。宗教美術では、日吉神社の男神像2躯(鎌倉時代)。1躯は倚子状の台に座り、もう1躯は跪坐する。正安3年(1301)銘のある宮殿も展示。ほか安楽寺の方便法身尊像(室町時代)など。
平成12年度から行っている、市内の地区ごとに歴史を紹介するこのシリーズは、厳しい運営状況下でも存続され、同館の調査研究能力と存在意義を高めている本当に価値あるものと思う。継続は力なり。
子は敷地内の古民家で、竈体験。火吹竹で火おこしして、いつまでも離れない。体験学習の効果は、やはり高いなあ。
大津市歴史博物館
企画展 湖都大津のこもんじょ学
(3月1日~4月13日) 近所の皇子山陸上競技場で、びわ湖毎日マラソンのゴールの様子を見てから、博物館へ。
日本史研究上に著名な古文書や、地域の歴史をキラリと伝える古文書など、古代から近代までの古文書を多数展観。大津市史編纂時の調査成果を基盤として(編纂時の資料などは博物館保管)、1章で古文書から分かる大津の歴史を、2章で古文書自体の形態や内容、伝来のあり方等を紹介する。
寺社・地域・個人が守ってきた古文書への理解(と愛情)を深めることで、それらを今後も継承していくことへのアピールが展示全体にみなぎっており、資料を守ることへの切実な思いを市民と共有化しようとするテーマが明確である。そうしたテーマを、園城寺や石山寺、延暦寺、葛川明王院などの一級資料で構築できるのはさすがに大津で、あらゆる利用者に目配りした、バランスのよい展示。図録あり(96ページ、1200円)
ミニ企画展 大津の仏教文化15 獅子・狛犬
(1月21日~3月16日) 大津市内の神社に伝来した鎌倉~江戸時代の獅子・狛犬13件を展示。神田神社や天皇神社の古様を残す獅子・狛犬と、日吉神社の文禄4年(1595)七條仏師康正作と想定される大きな獅子・狛犬に注目して鑑賞。滋賀県は中世の獅子・狛犬が集中的に残存するが、中近世移行期~近世前期の重要作例も多そう。リーフレットあり。
新発見速報展 新知恩院の木造釈迦涅槃像
(2月8日~3月16日) 新知恩院の総合調査の過程で見出された、鎌倉時代前期の快慶工房作と判断される、体長12.8㎝の小さな釈迦涅槃像を初公開。大きさはもとより、三道下の肉身部に水晶が嵌装される作例も他に類がなく、特殊な制作背景があるとみられる。これをきっかけに、今後、類例が見つかるかもしれない。
こうした孤高の作例を、見落とすことなく見出し、きちんと資料化して提示することは簡単なことでなく、かつ効果的に広報して広く共有化し、展示へと結びつけられる同館のマネジメント力もすごい。この涅槃像を含む新知恩院文化財調査の報告を掲載した紀要19号あり(112ページ・1500円)。
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