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奈良教育大学教育資料館「文化財とレプリカ物語展-限りなくオリジナルに近づく-」鑑賞記

奈良教育大学教育資料館
 文化財とレプリカ物語展-限りなくオリジナルに近づく-
(8月8日~8月11日)

 奈良教育大学が平成25年度に導入した3Dスキャナー、3Dプリンター、CADソフトを活用して作製した文化財レプリカを実物資料とともに展示し、あわせて同大学が教育の一環としてこれまでに行ってきた模写・模造等も公開。
 実物資料は、愛知県・瀧山寺境内日吉山王社の僧形神坐像(鎌倉時代)、愛知県・普門寺の萬暦20年あるいは26年(1592、あるいは1598)銘を有する如来形立像。前者は日吉山王社の主祭神像、後者は初公開の明代銅像で、火中したため首が傾き表面も荒れる。それぞれのレプリカは石膏製で、その素材特性とプリンターの仕様により成形と同時に着色を行えるタイプのもの。実際の仕上がりを確認でき個人的に貴重な経験(成形物が大きくなると表面彩色の情報が甘くなるもようだが、それでも彩色の手間が省けることはとても大きい)。また別に縮小した石膏製レプリカを触れるように準備しており、その強度は充分に触る資料として耐えうることも理解。
 資料の保存と普及、作品研究や技法習得にあって、模写・模造も含めたレプリカが果たす役割は大きい。レプリカと実物の間をうまく架橋しながら、レプリカでなければできない意義をいかに見出していくかが大切であり、本展の試みは重要。私自身も職場で3Dプリンター製文化財レプリカを視覚障害者を始め誰もが触れる資料として、あるいは過疎地域の文化財保存に活用し始めているところであるが、こうした試みの可能性を改めて感じる。図録あり(36頁・アンケート回答者に配布)。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
和歌山県立博物館の学芸員です。
仏像の研究者だったりもします。

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