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安倍文殊院、そして飛鳥資料館「向原寺蔵 金銅観音菩薩立像の限定公開」

安倍文殊院
 昨日の永久寺展鑑賞で、大和盆地東縁部の平安末~鎌倉初期における奈良仏師(慶派仏師)の動向に一定の意味を持たせる研究がしたいなあと思ったので、実家の用事と片付けを終えた帰り際に、せめて快慶作騎獅文殊菩薩及脇侍像(国宝)の拝観だけでもと立ち寄る。何時見てもすばらし。東博の「日本国宝展」(10/15~12/7)には善財童子像と仏陀波利三蔵像がお出ましの由。

飛鳥資料館
 向原寺蔵 金銅観音菩薩立像の限定公開
(7月12日~9月10日)

 昭和49年に盗難被害を受け、平成21年10月のオークションカタログに掲載されて所在が判明し、関係者・協力者の尽力で翌年に買い戻された向原寺観音菩薩立像を、平成23年の大飛鳥展(於万葉文化館)以来の公開。明和9年(1772)、向原寺脇の難波池で出土した頭部に体部ほかを補ったという由緒を持つ。如来坐像を表した冠飾を伴う頭部は作風からも飛鳥時代後期のもの。
 この由緒は、仏教初伝の際、欽明天皇が「仏相貌端厳(ほとけのかお、きらぎらし)」と評したとされる金銅仏を、蘇我稲目の向原(むくはら)の家を寺として安置したが、その後排仏派によって難波の堀江に捨てられた、という話と当然リンクする。もちろん頭部は6世紀前半まで遡らせることは難しく、豊浦寺関連の遺物であるのだろうけれど、まさしくその蘇我稲目の墓か?という見解も提示された都塚古墳がにわかに注目をあびている時期であり、タイムリーな展示。法隆寺献納宝物の如来坐像(複製)と並べての展示も様式比較の上でありがたい。
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大河内智之

Author:大河内智之
「観仏三昧」の主催者です。
仏像の研究者です。
奈良大学の教員だったりもします。

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